国債市場の流動性低下、定量的にも検証=日銀

2015年3月19日(木)13時57分

[東京 19日 ロイター] - 日銀は2013年4月の量的・質的緩和政策(QQE)導入後、債券市場や政府内で懸念され続けてきた流動性の低下について定量的に検証した結果を19日、「日銀レビュー」として公表した。先物市場の厚みの低下やレポ市場での貸借料上昇などから流動性が低下していると結論づけており、今後も注視する。

日銀が9日に公表した「債券市場サーベイ」では、7割の市場参加者が「市場機能が低下した」と回答している。流動性が低下すれば、有事に金利が跳ねやすくなるなど市場の機能に支障を来たすため、具体的な問題点を洗い出した格好だ。

市場の流動性を測るため、国債先物と現物国債、現物と先物との相関やSCレポ市場のそれぞれについて、1)値幅の狭さ、2)取引数量、3)市場の厚み、4)価格が異常に動いた直後に速やかに戻る市場の弾力性──を検証した。

国債先物の出来高・取引サイズや、現物国債のディーラー間取引の水準、現物・先物の価格連動性などには問題がないと結論づけた。

一方、国債先物の市場の厚みや弾力性がやや低下、現物国債の対顧客取引が低迷、SCレポ市場で貸借料が上昇している銘柄が増加──といった点では流動性が低下していると指摘している。

QQEの導入直後や昨年10月の追加緩和以降は、国債先物の裁量価格で取引可能な数量が低下傾向にあり、大口取引で価格が急変しやすいリスクを指摘している。

今後は「市場参加者とのコミュニケーションを通じ、各種指標に表れにくい市場流動性に関する見方などを丁寧に確認していく」という。

(竹本能文)

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