貿易赤字2月は4246億円で前年比半減、原油安による輸入減が影響

2015年3月18日(水)10時58分

[東京 18日 ロイター] - 財務省が18日に発表した2月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は4246億円の赤字となった。原油価格の低下で輸入が2カ月連続で減少したことなどが影響し、貿易赤字額は前年比47.3%減とほぼ半減した。赤字は32カ月連続。

中国の春節(旧正月)の時期のズレが輸出・輸入両面で響いた。

<輸出は底堅く、6カ月連続で増加>

輸出は前年比2.4%増の5兆9411億円。6カ月連続で増加した。数量ベースでは春節がマイナスに寄与したが、米国向けなどが好調で、全体としては「底固さ」を維持した。

品目では自動車(8.8%増)、半導体等電子部品(10.1%増)、金属加工機械(14.0%増)などが増加。地域別では、米国向け輸出は前年比14.3%増と6カ月連続で増加。中国向け輸出は同17.3%減と6カ月ぶりに減少した。

為替レート(税関長公示レート平均)は1ドル118.12円で、対前年比14.9%の円安だった。

<輸入は2カ月連続減少、原油安が響く>

輸入は前年比3.6%減の6兆3657億円。春節時期のズレがプラスに寄与したが、原油価格の低下が相殺し、全体としては2カ月連続で減少した。財務省では「(原油価格低下による)輸入減少傾向は当面残る」(財務省筋)とみている。

輸入原油単価は前年比48.8%下落の3万6718円/キロリットルで、ドルベースでは同55.4%下落し49.4ドル/バレルだった。

品目では、原粗油(54.8%減)のほか、石油製品(40.6%減)、液化石油ガス(38.8%減)などが減少。中国からの輸入は2月として過去最大となった。

季節調整済み貿易赤字は前月比54.9%増となり、1月から赤字幅は拡大した。

市場予測を大幅に下回る貿易赤字となったが、春節の影響など特殊要因もあり、市場は冷静。市場では「輸出は数量が増えていないが、円安メリットが徐々に出ているようだ。米国向け自動車関連がけん引した格好だ。ただ、中国は春節の要因もあるが景気減速の影響が強く出ている。中国の落ち込みを他のアジア諸国がカバーした構図」(国内金融機関)との見方が出ている。

ロイターが民間調査機関を対象に行った調査では、予測中央値は1兆0507億円の赤字。輸出は前年比0.3%増、輸入は同3.1%増だった。

*内容を追加します。

(吉川裕子 編集:野村宏之)

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