日銀は物価見通しを「当面ゼロ%程度」に下方修正

2015年3月17日(火)14時02分

[東京 17日 ロイター] - 日銀は16日─17日に開催した金融政策決定会合で、現行の量的・質的金融緩和(QQE)の継続を賛成多数で決めた。

景気の基調判断は緩やかな回復との見解を維持したが、消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)は消費税率引き上げの影響を除いたベースで「当面ゼロ%程度で推移する」とし、当面の見通しを引き下げた。

また、会合では1月に決めた貸出支援制度の拡充措置に関し、日銀の非取引先金融機関に対して系統中央機関を通じて貸付ができる仕組みなどの詳細を決定した。

<景気「緩やかな回復」を維持、CPI一時的マイナスも視野か>

景気は「緩やかな回復基調を続けている」とし、先行きも「緩やかな回復基調を続けていく」との見通しを示した。2月の前回会合では消費税率引き上げによる反動減などの影響に関する記述を削除しており、前回判断を踏襲した。輸出や設備投資、個人消費、生産などの判断も据え置いた。

一方、物価はコアCPIについて、消費増税の影響を除いたベースで前年比「ゼロ%台前半となっている」とし、先行きも「エネルギー価格下落の影響から、当面ゼロ%程度で推移するとみられる」とした。前回まではそれぞれ「ゼロ%台半ば」「当面プラス幅を縮小する」としており、現状と当面の見通しを引き下げたかたちだ。

原油価格の下落の影響でコアCPIは1月に前年比プラス0.2%に伸び率が鈍化、当面は電気料金の値下げなどが下押し圧力に働く可能性が大きく、「ゼロ%程度」との表現は一時的なマイナス転落も想定しているとみられる。

<木内審議委員、引き続き政策維持に反対>

金融政策運営は、QQEについて「所期の効果を発揮している」と評価。日銀が掲げる2%の物価安定目標の実現を目指して「これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続する」とし、「経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う」方針をあらためて表明した。

木内登英審議委員が昨年10月末の追加緩和前の政策に戻すよう主張。現行政策の維持に反対票を投じるとともに、物価2%目標の実現を中長期的に目指し、QQEを2年間程度の集中対応措置と位置づける議案を引き続き提出したが、反対多数で否決された。

<貸出支援制度、非取引金融機関も利用可能に>

会合では、1月に決めた「貸出増加を支援するための資金供給」(貸出増加支援制度」と「成長基盤強化を支援するための資金供給」(成長基盤支援制度)の二つの貸出支援制度について、日銀と当座預金取引がない金融機関でも、それぞれの系統中央機関を通じて制度を利用できる仕組みについて詳細を決めた。

新たな仕組みは17日から実施する。対象となる系統中央機関は信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、農林中央金庫。それぞれの会員で日銀の非取引先金融機関が制度を利用する場合は、会員金融機関との間で与信管理の適切性を確保することなどを求めている。

(伊藤純夫 竹本能文 編集:野村宏之)

*写真を更新しました。

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