デフレ脱却になお時間、1―2年で意識変わらず=麻生財務相

2015年3月17日(火)09時53分

[東京 17日 ロイター] - 麻生太郎財務相は17日の閣議後会見で、2年連続で賃上げになっていることは企業の生産性が上がり始めたことを意味するとして好感しながらも、20年続いたデフレから脱却するのに1年や2年で意識は変わらないと述べ、もうしばらく時間がかかるとの認識を示した。

2015年の春闘では、トヨタ自動車でベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分が組合員平均で月額4000円となるなど、各企業で昨年を上回る賃上げの動きが相次いでいる。

春闘の集中回答日を前に、麻生財務相は「賃金が2年連続で上がっていくことは、企業の生産性が上がり始めていることを意味する」とし、利益を内部留保にため込むのでなく、「労働分配率を上げる傾向になってきているのは、日本経済にとって良いことだ。消費が上がることになる」と評価した。一方で、道半ばだとも述べ、「20年続いているデフレから脱却するのに、1年や2年でなかなか意識はかわらない。もうしばらく時間がかかる」と見通した。

<中国経済、下振れリスクに注意>

中国の2015年成長率目標は7%前後とすることが決まった。前年を下回り、景気の減速懸念も指摘される中国経済の行方について麻生財務相は「(中国は)緩やかな拡大傾向を続けていけると思っているのだろう」としたうえで、不動産価格動向などを挙げ、「下振れリスクがあることには常に気に掛けておかなければならない。注意して見ていく」と述べた。

<AIIB,ガバナンスや審査の在り方に問題>

中国主導で発足するアジアインフラ投資銀行(AIIB)については「ガバナンスや審査のあり方について、問題があると思っている」と述べ、日本として参加に慎重な考えを示した。

AIIBをめぐっては、英国が主要7カ国(G7)の中で初めて参加表明するなど、広がりをみせている。

(吉川裕子)

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