今年の米企業利益予想は1.7%増、ドル高・原油安で大幅下方修正

2015年3月13日(金)22時51分

[ニューヨーク 13日 ロイター] - 原油安とドル高の逆風が吹き荒れる中、米企業の収益拡大見通しが急速にしぼんでいる。トムソン・ロイターのデータによると、米企業の2015年利益予想は1.7%増と、年初時点の8.1%増から大きく下方修正された。S&P総合500種採用銘柄にとっては、利益が5.5%減となった2009年以来、最悪の水準だ。

米金融街のアナリストは第1・四半期利益を2.7%減、第2・四半期を0.1%減と予想。2四半期連続のマイナスから下期の回復にかけるが、米原油先物が50ドルを割り込み、ドルが対ユーロで12年ぶり高値で推移する中、こうした見方さえも楽観的な可能性がある。

最大の押し下げ要因はエネルギー企業だ。エネルギー企業の2015年利益は55%減と予想されている。エネルギー企業を除けば、全体の利益予想は8.4%増だった。

バリュエーションへの懸念が出ている中、こうした状況は株式投資家にとっては頭の痛い問題だ。

S&P総合500種企業の株価収益率は17.1倍と、歴史的平均の15を上回っている。

パイオニア・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジョン・キャリー氏は「今年、利益に伸びしろがあるのかは疑問」とし、バリュエーションの割高感もあり、今後の相場動向に慎重な見方を示した。

S&P総合500種採用銘柄のおよそ半分が海外で稼いでおり、ドル高は原油安より広範な影響を及ぼす可能性がある。

ジャニー・モンゴメリー・スコットの首席投資ストラテジスト、マーク・ラスチーニ氏は「米企業にとり、最近のドル急騰はまさに暴力的な動きだ。あまり急激な上昇で多国籍企業はヘッジする余裕もなく、頭を悩ませている」と指摘した。

ほぼセクター全体の見通しが悪化する中で、通信セクターの利益は5%増と唯一、下方修正を免れ、明るい材料を提供した。

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