欧州委員長がギリシャ問題で結束訴え、合意形成へ調整目指す 

2015年3月14日(土)00時12分

[ブリュッセル 13日 ロイター] - ユンケル欧州委員長とギリシャのチプラス首相は13日、ブリュッセルで会談し、ギリシャの債務協議で欧州諸国に結束を呼びかけた。

委員長はチプラス首相との会談後、「(ギリシャ側の)ここ数週間の展開には満足していない。十分な進展があったとは思わない」と述べ、債務支援で合意した内容の進展は不十分で、双方の意見の違いを克服するために「提案」を行うと述べた。

だが「(ギリシャ支援協議の)失敗はありえない。欧州は分裂ではなくともに進むべきだ」と強調。チプラス首相が親欧州路線を維持している点を評価した。

前日には、ショイブレ独財務相がギリシャは自助努力の責任があるとした上で、同国が何かの弾みでユーロ圏を離脱する可能性は否定できないとの見方を示していた。

ユーロ圏当局者によると、ユンケル氏はギリシャのユーロ圏離脱(グリジット)やギリシャがユーロ圏を偶発的に離脱する事態(グレクシデント)による打撃を過小評価している恐れがあると懸念している。

一方、ギリシャのチプラス首相は、先月20日にユーロ圏財務相と合意した金融支援策延長について、ギリシャは約束通りすでに経済改革などを実行し始めており、自らの責任を果たしているとの認識を示した。

首相は委員長との会談に先立ち「解決策を見つけられると非常に楽観している。なぜならば、これはギリシャの問題ではなく、欧州全体の問題だからだ」と述べた。

一方、ユーロ圏に対しては、ギリシャへの態度を変えるよう要求。

「ユーロ圏はギリシャ国民に(改革の)実行や義務を言い募るだけではなく、希望というメッセージを送るべき時ではないか」と訴えた。

ユンケル氏は、ギリシャ指導部とギリシャの改革意欲に懐疑的なドイツやユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のデイセルブルム議長らとの橋渡し役となって合意形成を目指していると指摘。「欧州委員会は役に立ちたい。だがすべての決定はユーログループが下す必要があり、委員会は中心的な役割は果たせない」とした。

だがユーロ圏当局者によると、ギリシャとの調整役を振舞うユンケル氏の動きをめぐっては、域内から不満の声も出ている。今回の委員長の発言も、ドイツで欧州委員会が合意内容を緩めようとしているのではないかとの憶測を呼ぶ可能性がある。

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