新興国通貨が一段安、米利上げ観測や各国政治問題が重し

2015年3月10日(火)21時59分

[ロンドン 10日 ロイター] - 10日の外国為替市場で、新興国通貨が一段と値を下げ、トルコリラは先週末につけた対ドルの過去最安値に近づき、南アフリカランドは13年ぶりの安値を記録した。米利上げ観測を受けたドルの上昇とともに、各国の財政や政治などの国内問題に圧迫されている。

米経済の力強い成長や2014年半ば以降の米連邦準備理事会(FRB)の緩和策解除に向けた動きを背景に、ドル指数は約11年ぶりの高水準をつけている。

一方、新興国では景気見通しの悪化から、中銀が相次いで利下げに動いているため、投資家は慎重姿勢を強めている。

キャピタル・エコノミクスの新興国市場担当シニアエコノミスト、ウィリアム・ジャクソン氏は「南アフリカやトルコ、ブラジルといったよく知られている新興国市場の一部が最も弱い展開となっている」と指摘。「政治動向が一因となっているようだ」とした。

ブラジルレアルは10日の取引で10年余りぶりの安値をつけた。ブラジルの投資家は国営石油会社ペトロブラスをめぐる汚職事件や政府の財政再建の取り組みについて懸念。南アフリカでは慢性的な電力不足や労働争議、大幅な経常赤字が影を落としている。

トルコについてはエルドアン大統領が中銀に利下げへの猛烈な圧力をかけていることから、中銀の独立性について疑念が広がっている。

韓国ウォンやシンガポールドル、マレーシアリンギなどのアジア通貨も下落。東欧通貨は全面的に、対ユーロで弱含んだ。

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