米議会、TPPで為替操作けん制の動き

2015年2月26日(木)12時45分

[ワシントン 25日 ロイター] - 米議会で、環太平洋連携協定(TPP)などの通商協定に為替操作に対する制裁条項を盛り込むことを求める動きが出ているが、有識者の間では、実際には為替介入は行われておらず、議会が強硬姿勢をとれば、貿易交渉自体が暗礁に乗り上げかねないとの批判が広がっている。

議会では今月、超党派議員団が日中などの為替操作を阻止する法案を提出。他の議員からも同様の提案が出ている。

こうした動きについて、経済学者や元政権関係者からは懸念の声が上がっている。

クリントン政権で大統領経済諮問委員を務めたジェフリー・フランケル氏(ハーバ-ド大学教授)は「責任を転嫁しようという動きは常に存在する」と発言。自由貿易に対する不信感の表れだとの見方を示した。

元財務省高官のテッド・トルーマン氏は先週、ブログで「(制裁条項は)ほぼ確実に交渉の難航を招く古典的な例といえる」と指摘。

イエレン連邦準備理事会(FRB)議長も、24日の議会証言で、為替操作に対する制裁条項は金融政策に「支障」を来たしかねない、と反対する立場を示した。

米国は長年、貿易相手国の為替操作を批判しており、日本や中国については、近年は為替操作は行っていないとの見方が多い。制裁条項の支持者も、日銀が現在、為替操作を行っていないことを認めている。

米財務省は韓国のウォン安誘導への批判を強めているが、為替操作国には認定していない。人民元の実効為替レートは2004年以降、57%上昇している。

財務省の中国特使を務めたデビッド・ダラー氏は「(状況は変化しており)新しい現実に慣れる必要がある」と述べた。

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