ギリシャが6カ月の融資延長申請、破綻回避へ歩み寄り

2015年2月20日(金)07時52分

[アテネ/ブリュッセル 19日 ロイター] - ギリシャは19日、ユーロ圏諸国に対し、6カ月の融資延長を正式に申請した。現行の支援プログラム期限があと約1週間に迫っており、財政破綻を回避するため、譲歩案を提示し妥協点を探る。

ギリシャは新たな支援で合意しない限り、3月末までに手元資金が枯渇するとみられている。6カ月の延長で当座をしのぎながら、一段の債務軽減や成長重視の措置を盛り込んだ長期的な支援合意を債権団から引き出したい考えだ。

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のデイセルブルム議長(オランダ財務相)は、ギリシャの融資延長申請を検討するため、20日にブリュッセルでユーログループを開催すると明らかにした。

だが域内で最も影響力の大きいドイツは、ギリシャの融資延長申請に難色を示している。

独財務省は延長申請は支援プログラムの条件を満たさないまま「つなぎ融資の方向に向かっている」とし、「抜本的な解決策」にはならないと指摘。16日のユーログループで合意した基準も満たしていないとした。

ドイツの当局者らは、ギリシャの融資延長申請について、多様な解釈の余地を残すもので「トロイの木馬」のようだとの見方を示した。

20日に開かれるユーログループに向け用意された文書草案によると、ドイツは、共同声明の草案作成を開始するだけの根拠をギリシャの提案に見い出すことはできないとした。

ギリシャの申請について一歩前進したとの見解を示すユーロ圏当局者もいるものの、20日の協議に向けたユーロ圏当局者の準備会合ではすべての当局者が、ギリシャは現在の支援プログラムの条件順守にコミットすることをより明確に示す必要があるとの見解でドイツと一致した。

ギリシャ政府当局者によると、同国のチプラス首相は19日、ドイツのメルケル首相と電話会談を行った。

会談は50分間にわたり行われ、「前向きな雰囲気のなか、ギリシャとユーロ圏にとって互いに有益な解決策を模索するために双方が話し合った」という。

ドイツ政府報道官は電話会談を確認したが、内容についてはコメントしなかった。

ギリシャ政府当局者は、現行の支援プログラムとは異なる条件を提案したと明かした。

延長期間中は財政均衡を維持し、脱税や汚職の撲滅に向けた改革に迅速に着手する一方、「人道危機」および成長支援に対応する措置を講じることを約束したという。

ロイターが入手した申請文書によると、ギリシャはすべての債権者への返済義務を履行するとともに、欧州連合(EU)/国際通貨基金(IMF)による現行の支援プログラムを法的拘束力のある枠組みとして認め、財政目標を阻害するような行動を一方的に取らないことを確約した。

また融資の延長期間、欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、IMFの3者で構成する「トロイカ」の監視を受け入れる意向も表明した。ギリシャのチプラス首相はこれまで、トロイカの受け入れを拒否し、協力を打ち切る意向を示しており、債権者側に譲歩した格好だ。

ただ支援策の条件である国内総生産(GDP)比で3%相当のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字という今年の財政目標については、「プライマリーバランスの適切な黒字」を目指すとするにとどめ、明言を避けた。チプラス首相はこれをGDP比1.5%に引き下げることを求めている。

財政目標に加え、労働市場改革、民営化など、現行の支援策で実施が見込まれていたその他の重要事項の詳細は現時点で不明。

ギリシャの融資延長申請を好感し、アテネ株式市場のATG指数は当初2%値を上げたが、ドイツ政府の冷ややかな見解を受けて押し戻され、1%高で終了した。銀行株も9%急伸したが、その後上げ幅の大部分を削る展開となった。

*内容を追加します。

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