訂正:群馬銀が来期の海外貸出残高5割増へ、低利回りで新たな収益源育成

2015年2月19日(木)18時42分

[前橋市 19日 ロイター] - 群馬銀行は、2016年3月期の海外向け貸出を大幅に増やし、現行の5割増にあたる600億円にする方針を示した。同行がロイターの取材に対し明らかにした。低金利下で国内融資の利ザヤが下がり続けるなか、大手地銀が海外で収益機会を探る動きが加速している。

群馬銀の非居住者向け(海外向け)貸出の残高は一昨年度ゼロ(訂正)だったが、国内向け貸出と比較してスプレッドが厚いことから積極的に積み上げてきた。同行の市場国際部、武藤慶太部長によると、今期末の残高は400億円をわずかに超える見込み。内訳はドル建てと円建てが半分ずつで、手掛けた件数は約40。中心は東南アジアの非日系企業で、道路、電力や送電などのインフラ関係の案件だった。

群馬銀はこれまで、メガバンクの組成する海外シンジケートローンにも積極的に参加してきた。16年3月期に残高を積み上げるに当たり、武藤氏は来期からは「本格的なプロジェクトファイナンスにも参加したい」と述べた。

同行の海外向け貸出のスプレッドは平均で100ベーシスポイント(1%)程度で、一般的に日本の高格付け企業向けの貸出スプレッドの多くが10ベーシスを割っている現状と比較すると、銀行にとって手厚い収益源になるとみている。

同行は昨年10月、ドル建てCB(転換社債型新株予約権付社債)を発行し2億ドルを調達しており、地銀の海外貸出強化への動きとして注目されていた。

日銀による大規模な金融緩和を受け、国内融資の利ザヤや有価証券運用の中心である国債の利回りが低下し、地銀の間では新たな収益機会を海外貸出に求める動きが広がっている。

三菱東京UFJ銀行によると、サムライローンと呼ばれる非日系企業向けの貸出は昨年、全国の地銀のおよそ半数が参加。「他行が海外貸出を始めるなか、うちはやらなくてもいいのかという雰囲気が広がっている」(業界関係者)という。

*本文2段落目の「非居住者向け貸出の残高は昨年度ゼロ」を「一昨年度ゼロ」に訂正します。

(浦中大我 佐藤和香子)

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