ドルは118円半ば、FOMC議事録のタカ派色後退でじり安

2015年2月19日(木)12時38分

[東京 19日 ロイター] - 正午のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べてややドル安/円高の118円半ばだった。旧正月でアジアの多くの市場が休場となり取引は薄く、動意に乏しい展開となった。

前日の海外時間に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨がタカ派色を後退させた内容と受け止められた余波が残り、ドル/円は上値を押さえられた。

朝方には日経平均株価が約40円のプラス圏で寄り付いた後、上げ幅を拡大させる中、ドル/円も底堅い動きとなった。ただ、「ある程度の株高は織り込み済み。まだ積極的なドル買いでは反応しにくい」(国内金融機関)との声が出ており、上値を追う機運にも乏しかった。

仲値公示に向けてドル/円は、輸入企業のドル買いも支えに118.82円までやや強含む場面があったが、その後失速し、損切りオーダーを巻き込んで118.42円まで下押しされた。「特段、材料があった訳ではないが、タカ派色の後退したFOMC議事要旨の余波が残っているようだ」(邦銀)との見方が出ていた。

アジアの多くの市場が旧正月で休場のため取引は薄く、多少の売買で値が動きやすかったもよう。朝から小動きが続いたユーロ/ドルや豪ドル/米ドルは、ドル売りの流れで押し上げられた。ユーロ/ドルは、欧州時間にはギリシャ関連で動意づくことが見込まれるが「それまで値幅は期待できそうにない」(国内金融機関)との指摘が出ていた。

貿易収支(原数値)が1兆1775億円の赤字となったとする1月貿易統計速報が発表されたが、相場の反応は限定的だった。赤字は31カ月連続だが、消費税引き上げ前の駆け込みで大きく膨らんだ前年(2兆7950億円)より大幅に縮小した。

とりわけドル/円では、前日発表された米FOMC議事要旨の内容に目が向けられているとして「貿易収支では、あまり思惑は強まりそうにない」(国内金融機関)との声が出ていた。

<米利上げはFRB議長の議会証言が焦点に、目先はドル高機運修正か>

FOMC議事要旨が予想外にハト派的な内容だったことを踏まえ「ドル買い機運がややくじかれた」(国内金融機関)との受け止める声が出ていた。早ければ6月と見込まれていた利上げ観測が後退、米債利回りが低下し、ドル/円も下落した。

米利上げ時期をめぐって、次の焦点は24─25日のイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長による議会証言に移る。ただ、FOMC議事要旨を踏まえれば慎重な見方が示されそうだとして、大きくドル買いの材料としては期待しづらいとの見方が出ている。「遅かれ早かれ利上げするだろうから、長期的に(ドルの)目線は上」(別の国内金融機関)というが、足元では警戒感から「(ドル買いの)いけいけムードは修正されそうだ」(同)という。

前日発表の1月FOMC議事要旨では、時期尚早な利上げは景気回復の腰を折りかねないとの懸念などが示されていたことが判明していた。

<ギリシャ融資延長なら最悪シナリオ回避、先行きは視界不良>

ギリシャはユーロ圏に対し、最大6カ月間の融資延長を申請する見通しだが、ドイツなど懐疑的な支援国からの抵抗も想定され、まだ先行きの不透明感は払しょくされていない。みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏は、ギリシャへの融資延長で話がまとまれば「ギリシャ離脱のリスクが消え、最悪のシナリオから抜け出せる」とし、いったんはユーロの買い戻しが強まりそうだとみている。

    ただ、実際に融資を受けるにはギリシャ議会が緊縮財政案を可決する必要があり、3─4月ごろには可決できるかどうかの問題が浮上する可能性があるという。「仮に議会で緊縮案を通せなければ、最悪の場合、再び解散・総選挙になる可能性がある。とはいえ、全く別の政権が生まれる土壌はなく、堂々巡りになりそうだ」(唐鎌氏)といい、先行きは依然、視界不良といえそうだ。

前日のユーロ/ドルは、ギリシャ情勢への懸念で1.13ドル半ばまで下落したが、FOMC議事要旨を受けたドル売りで持ち直し、ほぼ元の水準に戻していた。

ドル/円  ユーロ/ドル  ユーロ/円

正午現在   118.56/58 1.1420/24 135.41/45

午前9時現在 118.71/73 1.1398/02 135.32/36

NY午後5時 118.78/80 1.1396/98 135.36/40

(平田紀之)

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