賃上げの流れさらに継続、好循環拡大めざす=経済演説で甘利担当相

2015年2月12日(木)14時19分

[東京 12日 ロイター] - 甘利明経済再生担当相は12日午後の衆院本会議で経済演説を行い、当面の経済財政運営について、「緊急経済対策にスピード感を持って具体化を図る」ほか、「賃上げの流れを今春も来春も継続させ、経済好循環の拡大をめざす」と述べ、賃上げの継続を強く求めた。また日銀が2%の物価目標実現に向け取り組んでいることについて、「政府としては、経済・物価情勢を踏まえつつ、目標実現に期待する」と述べた。

景気の現状については「引き続き緩やかな回復基調が続いている」としながらも、「足元では個人消費などに弱さがみられる。この背景には、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減や夏の天候不順に加え、輸入物価の上昇、さらには、消費税率引き上げの影響を含めた物価の上昇に家計の所得が追いついていないことなどがある」と述べた。

今後の経済見通しについては、「雇用・所得環境が引き続き改善し、好循環がさらに進展するとともに、原油価格低下などにより交易条件も改善する中で、景気回復が見込まれる」との見方を示した。

きょう閣議決定された政府経済見通しは、実質経済成長率は1.5%、名目で2.7%程度と見込んでいる。

成長戦略の実現については、岩盤規制の改革をはじめ、法人実効税率を数年で20%台まで引き下げることを目指すと表明。環太平洋経済連携協定(TPP)の推進は、「交渉の早期妥結へ向け努力し、国益をしっかりと最終的な成果に反映すべく全力を挙げて交渉に取り組んでいいく」とした。

経済再生と財政健全化の両立に向けた取り組みについては、15年度の基礎的財政赤字の対国内総生産(GDP)比の半減目標達成が見込まれとし、「20年度までに国と地方合わせた基礎的財政収支を黒字化するという財政健全化目標の達成に向け、経済再生と財政健全化の両立を実現すべく、経済財政諮問会議において検討を進め、具体的な計画を今年夏までに策定する」と述べた。

社会保障改革については、「少子高齢化が進展する中で、安定財源確保と財政健全化を同時に達成する観点」を強調。

「こども・子育て支援をはじめ、社会保障の充実について可能な限り予定通り実施する」一方で、「消費税率10%への引き上げを実施するとともに、社会保障制度改革のスケジュールに沿って社会保障の充実・安定化に取り組むなど、改革を推進していく」とした。

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