アジア人への憎悪は理性を超える 「アメリカ差別史」に見る問題の原点

2021年4月6日(火)16時06分
グレン・カール

人は自分が聞いたことを「真実」として受け入れ、信じようとする。指導者が問題の捉え方を変えれば、人々の認識や行動も変わるだろう。ジョー・バイデン大統領がアジア人への暴力を非アメリカ的で間違っていると糾弾すれば、暴力は減る。

アメリカはゆっくりと、大きな緊張と苦悩を伴いながら、人種・部族的な偏見から抜け出してきた。こんにちのアメリカの権力構造は、アメリカの真の多様性を反映しつつある。出自や信条に関係なく、個人がかつてないほど大きな権利や機会を手にしている。黒人の大統領が誕生した。バイデンはアイルランド系カトリック教徒だ。女性と黒人とアジア人は、社会のあらゆる場面でますます重要な地位を占めている。

こうした社会の深遠な変化は、トランプによって自己防衛的な憤りとして悪用され、アジア人への暴力が急増する一因になった。しかし一方で、白人至上主義者や社会に疎外された人々からの反民主主義的な圧力を克服できれば、そのような暴力は減る──アメリカの歴史はそう教えている。

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