無人機はこうして攻撃する
昨年、アフリカ北部のジブチで取材中、米軍基地に向けて着陸態勢に入っていた米軍の無人機を目撃しました。滑るように私の上空を通過し、米軍基地の中に入っていきました。その先は、基地のフェンスで見えませんでした。
その場所から見て、アラビア半島南部のイエメンでの作戦行動の帰りだった可能性があります。
では、この無人機は、どのような行動をとっているのか。本誌2月19日号の「知っているようで知らない無人機攻撃の怖さ」が取り上げています。
米軍の無人機の運航基準について、米NBCニュースが入手したオバマ政権の内部文書を解説しています。
たとえば2011年9月、イエメンでアルカイダ系組織の指導者で米国籍のアンワル・アル・アウラキが無人機攻撃で殺害された事件。訴追されていない人物の殺害は、米憲法修正5条(法に基づく適正な手続きなしに生命を奪われない)違反ではないかという批判がありました。
文書によれば、外国にいる人物でも「切迫した脅威」を及ぼせば殺害できると定めているというのです。「切迫した」脅威を認定するのは、攻撃する人間なのですから、客観的な判断にはなりません。
「標的リスト」に新たなターゲットを追加する場合は、「オバマ大統領自身が承認しているといわれる」。つまり、オバマ大統領の命令で殺害が実行されているのです。
では、誰が殺害されているのか。「最近はアフガニスタン、パキスタン、イエメン、ソマリアで反政府武装勢力の下っ端戦闘員が標的にされ、相手の身元がよく分かっていないこともある」
集団の行動パターンが少しでも武装勢力のように見えたら標的にするという「識別特性爆撃」も実施されているというのですから、これでは無差別攻撃に近いといっていいでしょう。
民間人が犠牲になることはないのか。「CIAは無人機作戦の犠牲者が成人男性だった場合」は、「戦闘員」として数えているそうです。これでは、殺せば殺すほど、「戦闘員」を殺害していることになります。
驚くべき論理ですが、そういえば、ベトナム戦争中も、米軍が殺害したベトナム人は、まとめて「ベトコン」(南ベトナム民族解放戦線に対する差別語)と見なしていたことを思い出します。米軍は、いつの世も変わっていないようです。
犠牲者数はどれくらいなのか。調査報道協会の推定では、「死者数は多めに見積もって3000~4500人だという」。
なんというアバウトな。人が殺されているのに。
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