先日、シドニーのショッピングモールで6人が殺傷されるという事件が起こりました。この容疑者はその場で警察に射殺されましたが、17歳の時に精神疾患があると診断され、その後何年も薬を服用していましたが、止めた直後にこの事件を起こしたと報道されています。この事件をきっかけにオーストラリアではメンタルヘルスの問題に再び社会的な注目が集まっています。

Australian Institute of Health and Welfare (AIHW)、オーストラリア保健福祉研究所は過去12か月の間に16歳から85歳のオーストラリアの5人に1人、つまり約430万人がメンタルヘルスの問題を経験したと報告しています。18歳以下では約7人に1人の子供がメンタルヘルス問題を経験したとされています。

オーストラリア先住民、LGBTIQ+、障害がある人といった社会的マイノリティーはメンタルヘルスの問題を抱えている比率が高くなっています。メンタルヘルスの問題は多くの人の教育や仕事にも影響を及ぼします。メンタルヘルスに問題を持つためにフルタイムで勉強や仕事をできない人も多くいます。

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メンタルヘルスの問題は複雑多岐であり、個々の状況に応じた適切なサポートが必要です。オーストラリアには、メンタルヘルスを悪化させた人が相談できる機関が多数存在し、特にパンデミック以降、相談数が増加しています。生活費の高騰など経済的な問題も、メンタルヘルスに影響を与えており、ライフラインなどの団体が24時間年中無休でサポートを提供しています。

政府や民間団体がさまざまな対策を講じていますが、問題が解決に向かっているとはいえません。オーストラリアの精神科医は人数がいまだに足りていません。精神科医にかかる方法としては他の傷病と同じく公立病院経由かプライベートのオプションがあります。しかし公立病院の場合は症状がかなり深刻な状態でない限り診てもらえません。プライベートでも数か月待ちという場合もあります。その上、診療費に500ドル以上かかる場合もあります。近年増えてきたADHD（発達障害の一種）の診察、治療もあり、精神科医へのアクセスはよりいっそう困難になっています。

オーストラリアのメンタルヘルス対策は、国民の心の健康を守るための重要な取り組みですが、家庭内暴力や経済的な問題など、解決すべき背景にある課題はまだ多く存在します。今後も、これらの問題に対する意識の高まりと、効果的なサポートシステムの構築が求められています。

参考
https://www.aihw.gov.au/mental-health/overview/prevalence-and-impact-of-mental-illness