最新記事

宇宙

太陽系で最も火山活動の盛んな天体「イオ」、赤外線画像でとらえられた

2022年12月20日(火)19時06分
松岡由希子

活発な火山活動を行う木星の衛星「イオ」 wikimedia

<木星探査機「ジュノー」は、「イオ」を赤外線画像でとらえることに成功した>

木星の4つの衛星「ガリレオ衛星」のなかで最も内側を公転する「イオ」は、数百もの火山を持つ太陽系で随一の火山地帯だ。アメリカ航空宇宙局(NASA)の木星探査機「ジュノー」は2022年7月5日、約8万キロ先の地点で「イオ」を赤外線画像でとらえることに成功した。

NASAジェット推進研究所(JPL)が2022年12月14日に公開した画像では、溶岩流や溶岩湖が鮮やかな赤の斑点として映し出されている。この画像から「イオ」では赤道よりも極域のほうが火山が多いこともわかった。

>>■■【画像】火山だらけ......「イオ」の赤外線画像

ジュノーのミッションは完了したが、2025年まで延長

2011年に打ち上げられた「ジュノー」は2016年7月から木星を観測し、2021年7月に主要なミッションが完了したが、その後も最長2025年9月まで木星探査が延長されることとなった。「ジュノー」は2021年6月に木星の第3衛星「ガニメデ」に接近し、2022年9月には木星の第2衛星「エウロパ」にもフライバイ(近接通過)している。

「ジュノー」には、カラーカメラ「ジュノーカム(JunoCam)」や「イオ」を赤外線で観測した「JIRAM(赤外線オーロラマッピング装置)」など、木星観測のために設計された観測機器が搭載されている。

これらはその衛星の観測にも活用されており、ジュノーの主任研究員スコット・ボルトン博士は「それぞれのフライバイで新たな情報を多く得られている」とこれまでの延長ミッションの成果を評価している。

9回フライバイし、「イオ」を観測する

「ジュノー」はこの先1年半で9回フライバイし、「イオ」を観測する。2022年12月15日に1回目のフライバイ観測が実施されたほか、9回のフライバイのうち2回では1500キロまで接近する計画だ。一連のフライバイで「イオ」を初めて高解像度で観測し、「イオ」の火山や火山噴火と木星の強力な磁気圏、オーロラとの相互作用のメカニズムなどを解明していく。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米ネクステラ、グーグルやメタと提携強化 電力需要増

ワールド

英仏独首脳、ゼレンスキー氏と会談 「重要局面」での

ビジネス

パラマウント、ワーナーに敵対的買収提案 1株当たり

ワールド

FRB議長人事、大統領には良い選択肢が複数ある=米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中