太陽系で最も火山活動の盛んな天体「イオ」、赤外線画像でとらえられた
活発な火山活動を行う木星の衛星「イオ」 wikimedia
<木星探査機「ジュノー」は、「イオ」を赤外線画像でとらえることに成功した>
木星の4つの衛星「ガリレオ衛星」のなかで最も内側を公転する「イオ」は、数百もの火山を持つ太陽系で随一の火山地帯だ。アメリカ航空宇宙局(NASA)の木星探査機「ジュノー」は2022年7月5日、約8万キロ先の地点で「イオ」を赤外線画像でとらえることに成功した。
NASAジェット推進研究所(JPL)が2022年12月14日に公開した画像では、溶岩流や溶岩湖が鮮やかな赤の斑点として映し出されている。この画像から「イオ」では赤道よりも極域のほうが火山が多いこともわかった。
ジュノーのミッションは完了したが、2025年まで延長
2011年に打ち上げられた「ジュノー」は2016年7月から木星を観測し、2021年7月に主要なミッションが完了したが、その後も最長2025年9月まで木星探査が延長されることとなった。「ジュノー」は2021年6月に木星の第3衛星「ガニメデ」に接近し、2022年9月には木星の第2衛星「エウロパ」にもフライバイ(近接通過)している。
「ジュノー」には、カラーカメラ「ジュノーカム(JunoCam)」や「イオ」を赤外線で観測した「JIRAM(赤外線オーロラマッピング装置)」など、木星観測のために設計された観測機器が搭載されている。
これらはその衛星の観測にも活用されており、ジュノーの主任研究員スコット・ボルトン博士は「それぞれのフライバイで新たな情報を多く得られている」とこれまでの延長ミッションの成果を評価している。
9回フライバイし、「イオ」を観測する
「ジュノー」はこの先1年半で9回フライバイし、「イオ」を観測する。2022年12月15日に1回目のフライバイ観測が実施されたほか、9回のフライバイのうち2回では1500キロまで接近する計画だ。一連のフライバイで「イオ」を初めて高解像度で観測し、「イオ」の火山や火山噴火と木星の強力な磁気圏、オーロラとの相互作用のメカニズムなどを解明していく。