最新記事

拷問

香港の元英領事館職員、中国当局による恐怖の拘留体験を暴露

2019年11月20日(水)18時20分

香港の英領事館職員として中国当局に身柄を拘束され、その後釈放されたサイモン・チェン氏が、拘留中の状況を米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙と英BBCに明らかにした。写真はチェン氏の似顔絵が描かれたポスターを持つデモ参加者ら。香港で8月21日撮影(2019年 ロイター/Willy Kurniawan)

香港の英領事館職員として中国当局に身柄を拘束され、その後釈放されたサイモン・チェン氏が、拘留中の状況を米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙と英BBCに明らかにした。チェン氏は、中国秘密警察から、香港の民主化デモの首謀者に関する情報を尋問され、殴られたりするなどの拷問を受けたという。ラーブ英外相は中国側の処置を非難した。

チェン氏は8月に中国の深センで身柄を拘束され、15日間、拘留された。

同氏は「身体を拘束され、目隠しをされ頭にフードをかぶせられた」とBBCに語った。

WSJに語ったところによれば、尋問官らは、香港のデモは英国が扇動していると考え、その役割について繰り返し尋問。チェン氏は、恐怖から自身の電話とソーシャルメディアのアカウントのパスワードを教えたほか、軍や情報機関関係の経歴があると考えた英領事館職員2人の名前を挙げ、デモに関与した複数の人物の情報を提供した。

ラーブ外相は、中国側のチェン氏の扱いは「拷問にあたる」と非難。中国大使を呼んで、チェン氏の扱いについて「激しい憤り」を表明した。

ラーブ外相はWSJに「中国当局がこの件の責任者らを調査し拘束することを期待していると明言した」と語った。

駐英中国大使は18日、米英などの外国諸国が、香港で起こっている暴力的衝突に関する見解を示すことは、中国国内問題への干渉にあたると批判した。

[ロンドン 20日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191126issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月26日号(11月19日発売)は「プラスチック・クライシス」特集。プラスチックごみは海に流出し、魚や海鳥を傷つけ、最後に人類自身と経済を蝕む。「冤罪説」を唱えるプラ業界、先進諸国のごみを拒否する東南アジア......。今すぐ私たちがすべきこととは。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

仏ロレアル、第1四半期売上高は9.4%増 予想上回

ワールド

独財務相、ブラジルのG20超富裕層課税案に反対の意

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、米金利上昇で 半導体関連

ビジネス

FRB当局者、利下げ急がない方向で一致 インフレ鈍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中