最新記事

中国

習近平「ブロックチェーンとデジタル人民元」国家戦略の本気度

2019年11月5日(火)11時15分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

ビットコイン Allexxandar-iStock.

習近平は10月24日の中共中央政治局会議でブロックチェーンを国家戦略として取り込めと発言。中国人民銀行はデジタル人民元に意欲的だ。実現可能性を中国の本気度と内情から読み解く。

中共中央政治局学習会での習近平の驚くべき発言

10月24日、中国共産党中央委員会(中共中央)政治局第十八回集団学習という会議で、「ブロックチェーンを核心的技術の自主的なイノベーションの突破口と位置づけ、ブロックチェーン技術と産業イノベーション発展の推進を加速させよ」と述べた。

具体的に何を考えているかを知るために、少し詳細に発言の内容を掘り下げてみよう。

1.ブロックチェーン技術を他の技術 と結合させ応用することは、新しい技術革新と産業変革の中で重要な役割を果たす。

2.ブロックチェーン技術応用は既にデジタル金融、IoT(モノのインターネット)、スマート製造、サプライチェーン管理、デジタル資産取引など、多くの領域に及んでいる。

3.目下、全世界の主要な国家はブロックチェーンの発展に手を付けており、我が国は特に非常に良好な基礎を築いているので、さらにブロックチェーンと産業および経済社会との融合を加速しなければならない。
(筆者注:ここで言う「良好な基礎」とは、既に民間でのブロックチェーン応用が進められており、また一部では司法や企業登記など、お役所の仕事にも試験的に取り入れられていることを指しているものと思われる。)

4.我が国は、この新興領域で理論の最前線を行き、トップランナーとして世界の動向の主導権を握らなければならない。

5.そのためには、安全で、国家が完全にコントロールできる技術の掌握が肝要だ。国家によるブロックチェーンの標準化を強化させ、国際社会における発言権を高めていかなければならない。マーケットの優勢を発揮して「イノベーション・チェーン」と「応用チェーン」および「価値のチェーン」をつなげていくのだ!

6.ブロックチェーン産業エコロジーを構築し、ブロックチェーンとAI、ビッグデータ、IoTなどの最前線の情報技術を統合させ、それに貢献できる人材チームを養成せよ。

習近平は引き続き、「民生」との融合に関して「4つの指針」を出している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国当局、地方政府オフショア債への投資を調査=関係

ビジネス

TikTok米事業継続望む、新オーナーの下で=有力

ワールド

トランプ前米大統領、ドル高円安「大惨事だ」 現政権

ビジネス

米ペプシコの第1四半期決算、海外需要堅調で予想上回
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中