最新記事

米空軍

謎だらけのアメリカ空軍の無人宇宙機「X-37B」、約2年ぶりに軌道周回飛行から帰還

2019年10月31日(木)18時00分
松岡由希子

X-37Bは780日間に及んだミッションから地上に帰還-US Air Force

<米空軍の無人スペースプレーン「X-37B」が、史上最長となる780日間の軌道周回飛行を終えて、ケネディ宇宙センターに無事帰還した......>

アメリカ空軍(USAF)の無人スペースプレーン「X-37B」は、2017年9月7日に米フロリダ州ケープカナベラル空軍基地からスペースXの打ち上げロケット「ファルコン9」で打ち上げられ、史上最長となる780日間の軌道周回飛行を終えて、2019年10月27日、フロリダ州ケネディ宇宙センターに無事帰還した。

再使用型スペースプレーンの重要性を実証?

「X-37B」のミッションは機密扱いであるため、偵察活動や宇宙兵器の実験に使われいるのではと憶測を呼んでいた。詳細は明らかにされていないが、小型衛星の輸送のほか、空軍研究所(USAF)の実験用電子機器や自励振動ヒートパイプ(OHP)技術の長期の宇宙環境下でのテストなどに用いられたとみられる。

「X-37B」は1999年にアメリカ航空宇宙局(NASA)のプロジェクトとして開発がはじまり、その後、アメリカ空軍に移管された。

「X-37B」のミッションは2010年4月以降、これまでに5回行われている。アメリカ空軍のバーバラ・バネット長官は、このほどX-37Bが帰還したことを受けて「『X-37B』は再使用型スペースプレーンの重要性を実証し続けている。次々と続くミッションによって、米国の宇宙分野での能力が向上している」と成果を強調。

デビッド・ゴールドフィン参謀総長も「『X-37B』が軌道周回飛行の最長記録を更新した後、無事帰還したことは、政府と産業界との革新的な連携の賜物だ」と高く評価している。

高さ2.9メートル、長さ8.9メートル、翼幅4.5メートルの「X-37B」は、スペースシャトルを小型化したような形状をなしている。

100405-O-1234S-001.JPG

2010年4月に撮影された「X-37B」- US Air Force

2020年にも再び打ち上げ予定

「X-37B」の姿は、ミッション期間中、オランダでもとらえられている。オランダのアマチュア天体写真家ラルフ・ヴァンデヴェルグ氏は、6月30日と7月2日に「X-37B」とみられる物体を撮影することに成功した。

アメリカ空軍では、2020年にも再び「X-37B」を打ち上げ、第6回目のミッションを行う計画だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米GDP、1─3月期は予想下回る1.6%増 約2年

ワールド

米英欧など18カ国、ハマスに人質解放要求

ビジネス

米新規失業保険申請5000件減の20.7万件 予想

ビジネス

ECB、インフレ抑制以外の目標設定を 仏大統領 責
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中