最新記事

発毛促進

ハゲに朗報!合成ビャクダンを頭皮に「嗅がせて」発毛促進:英研究

2018年9月21日(金)16時30分
高森郁哉

朗報だ〜! Lord Baileys-iStock

人の頭皮組織に存在する嗅覚受容体にビャクダンの合成香料を適用すると、発毛が促進される──。ハゲ・薄毛の画期的な治療法の開発に役立ちそうな、新たな研究成果がこのほど発表された。

鼻腔以外にも存在する嗅覚受容体

英マンチェスター大学のラルフ・パウス博士らがまとめた論文が、英学術誌「ネイチャー」系のオープンアクセスジャーナル「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載され、「インディペンデント」、「ニューサイエンティスト」などが報じた。

脊椎動物の鼻腔内には嗅覚受容神経があり、この表面にある嗅覚受容体が「におい分子」を認識すると、においを感じる。ただし、嗅覚受容体は体内の別の細胞にも存在することがわかっており、嗅覚以外の細胞機能を調節しているという。

パウス博士ら研究チームは、ヒトの毛包上皮に嗅覚受容体「OR2AT4」が発現していることに気づいた。OR2AT4は過去の研究から、ビャクダン系合成香料「サンダロア(サンダロール)」の成分で活性化することが知られている。そこで、頭皮組織片をサンダロアで処理すると、毛包の角化細胞の細胞死が減少し、頭皮内の成長ホルモン分泌が25〜30%増加した。

パウス博士らはその後、女性ボランティア20人を対象に、ごく短期間の臨床試験を実施。頭皮の一部にサンダロアを適用したところ、1日あたりの脱毛量に減少がみられたという。

サンダロアには皮膚再生の効果も

サンダロアが身体にもたらす好影響がわかったのは、今回が初めてではない。

パウス博士も参加した2014年の研究では、表皮細胞内にあるOR2AT4をサンダロアで活性化。これにより、ケラチン生成細胞の傷を治癒するプロセスが促進された。

なお、パウス博士によると、天然のビャクダンはにおい分子の構造が異なるため、サンダロアと同じ効果は見込めないという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国、26年に都市再開発・住宅市場安定化の取り組み

ビジネス

午後3時のドルは156円ちょうど付近へ反落、日銀利

ビジネス

金が最高値更新、米・ベネズエラ緊張で 銀も最高値

ワールド

ボルソナロ氏長男、穏健政策訴えへ 出馬意向のブラジ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 4
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 5
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 6
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 7
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中