最新記事

宇宙

イスラエルの「スペースIL」、月に探査機を打ち上げへ 成功すれば民間で世界初

2018年7月27日(金)19時40分
鳥嶋真也

イスラエルの民間団体「スペースIL」が開発している月探査機の想像図 (C) SpaceIL

イスラエルの民間団体「スペースIL」(SpaceIL)は2018年7月10日、今年末に月に向けて探査機を打ち上げると発表した。

来年2月には月に着陸する予定で、科学観測などを実施。さらに来年以降、米国や日本の民間企業も月を目指そうとしている。

イスラエルの民間団体「スペースIL」

スペースILは2011年に設立された団体で、イスラエルにとって初、そして民間としては世界初となる月着陸を目指している。

この団体が設立された背景には、米国のXプライズ財団が2007年から開催した、月探査を目指した賞金レース「グーグル・ルナ・Xプライズ」(Google Lunar XPRIZE)があった。米国をはじめ、日本からも参戦チームがあったことで知られるこのレースに名乗りを上げたのが、スペースILだった。

スペースILは民間の非営利団体だが、イスラエル宇宙機関(ISA)や、米国の実業家シェルドン・アデルソン氏などからの資金提供により、総額7000万ドル以上の活動資金を得ているとされる。

また探査機の開発には、ISAをはじめ、同国の大手航空宇宙メーカー、イスラエル・エアロスペース・インダストリーズなども協力している。

スペースILの活動のきっかけとなったグーグル・ルナ・Xプライズ自体は、今年3月の期限までに月に到達できるチームがいなかったことから、レース不成立となり終了した。しかし、スペースILはその後も独自に月を目指して活動を継続。打ち上げができる段階にまでこぎつけた。

spaceil002.jpgスペースILの月探査機 (C) SpaceIL

スペースILの月探査機

スペースILの月着陸機、質量は600kgで、その大半が燃料で占められており、着陸後の質量は180kgほどになる。月に着陸する探査機としてはとても小さい。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中