最新記事

テロ

自動運転の到来で誰もがテロリストになれる時代に?

2017年9月25日(月)16時28分
ケイト・ローレンス ReadWrite[日本版]編集部

2017年4月7日のストックホルムでのテロ攻撃には巨大なトラックが使われた、(c) ReadWrite[日本版]編集部

自動車テロに関するニュースがここ一週間はやっと鳴りを潜めた感じだ。自動車テロとは、加害者が目標に対し致命的な怪我を負わせたり、建物に深刻なダメージを負わせたりすることを狙った攻撃のことである。

2014年から2017年の間で世界的に知られるこうした攻撃は21回を数えており、ロンドンやベルリン、ストックホルム、エルサレムやバルセロナを含む地域で220名以上が死亡、800名以上の負傷者を出している。

テロ攻撃にはあらゆるものが武器として使われ、車やトラックはそうした武器の一つに過ぎないというのは理解できるところだ。同時にテロを防ぐためには法律や諜報活動、政治といったことのみならず、第一に人々がテロ活動に引き込まれないようにするにはどうすればいいかと言ったさまざまなことが考えられなければならない。車が突っ込んでくるのを防ぐための進入防止柵などの導入が進んでいるのは知っての通りだ。

私はかつて、こうした車を使った攻撃で死亡者が出た都市、メルボルンとベルリンに住んでいたことがある。また巡行バスが抱える問題は自動運転車について知る技術系ライターにとっては馴染み深いものだろう。故意のテロ行為だけでなく、体調の悪い乗客が出た時やカーナビのおかしなガイドを運転手が馬鹿正直に守り続けた場合にも、人を轢いたり建物にぶつかったりすることがある。

ではテクノロジーはこういったことを解決する助けになるのだろうか?

テクノロジーはどう役立つのか

ベルリンでは去年、クリスマスの日にテロリストがトラックで突っ込み多大な犠牲を出したが、状況はさらにひどいものになる可能性もあった。聞くところによるとトラックは攻撃を初めてまもなく停止したという。と言うのもEUではトラックに取り付けることが義務付けられている自動緊急ブレーキシステムが備わっていたからだ。

newsweek_20170925_185348.jpg

ベルリンで昨年クリスマスに起きたテロで使われたトラック (c) ReadWrite[日本版]編集部

EU規制 No. 347/2012には前方の車と衝突する可能性を検知する自動緊急ブレーキシステム(AEBS)の技術的要求やテスト過程についての仕様が記載されている。光や音、触覚などを通じて運転手に警告を送り、それでも反応がない場合は自動的にブレーキが作動する。今回の件ではトラックが狙いよりもずっと前に停止したため、多くの命を救うこととなった。同じような規制は米国でも提案されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中