最新記事

トランプ大統領

中国トランプの商標登録また認定 「利益相反」で丸儲け

2017年6月16日(金)15時05分
エレノア・ロス

政治もビジネスも二人三脚のトランプと長女イバンカ Kevin Lamarque-REUTERS

<トランプの名前がついたコンドームから爆薬まで。大統領の影響力で儲ける「利益相反」問題を誰も気にしないのか>

ドナルド・トランプ米大統領が以前中国で申請して、退けられていた商標6件が登録を認められた。この追加承認で、トランプの「利益相反」論争はさらに熱を帯びそうだ。合衆国憲法は報酬条項で米連邦政府の当局者が外国政府から経済的利益などを受け取ることを禁止しており、これに違反する恐れがある。

昨年の大統領選の最中にはトランプは、アメリカの雇用を中国が奪っていると非難した。しかし今年4月、フロリダ州パームビーチの別荘「マール・ア・ラ―ゴ」に中国の習近平国家主席を招いて首脳会談を行ってからは態度が一変、世界第2位の経済大国への非難は影を潜めた。今回商標登録が認められたのが、その返礼だとすれば利益相反に相当する。

【参考記事】ついに中国で成立した「トランプ」商標登録
【参考記事】アゼルバイジャンのトランプ・ホテルは利益相反の巣

これでトランプは、中国全土で123件の商標を登録または承認されたことになる。

トランプは中国で実質的にビジネスを手掛けているわけではないが、商標を登録することで、現地の業者が自分の名前を冠した商品やサービスを提供する場合に一定の利益を得ることができる。AP通信によると、トランプの商標は多岐に渡る。中国語表記のものでは靴下、広告、美容サロン、英語表記では時計や宝飾品の修理サービスなど。

トランプは大統領に就任してからビジネスからは表向き手を引き、トランプ・オーガニゼーションの経営は2人の息子に委ねている。

イバンカ・トランプの商標も

中国はトランプの長女イバンカのファッションブランド「イバンカ・トランプ」にも4月、新たに4件の商標を認めた。同ブランドの工場の労働者はかなりの低賃金で働かされていると非難されているにも関わらず、だ。

【参考記事】親馬鹿トランプ、イバンカをかばい「利益相反」体質さらす
【参考記事】イバンカのアパレル工場は時給1ドルのブラック企業だった

中国商標局のデータベースによると、イバンカ・トランプの商標は仮承認と承認済みを合わせれば、少なくとも24件ある。これに加えて未決が43件、無効が3件あると、米ABCニュースは報じた。

トランプの商標が新たに認められたというニュースは、大統領職とビジネスの利益相反を批判する側を勢いづけるだろう。メリーランド州とコロンビア特別区の両司法長官は12日、利益相反に絡んで、トランプを提訴した。

トランプは長年、中国での商標登録を増やそうとしてきた。今ではコンドームから爆薬まで、中国で自分の名前が使われるときはもれなくライセンス収入が入るようになっている。

大統領の立場を利用して、家族のビジネスの利益を増やすのは、利益相反ではないのだろうか。

【参考記事】「英中蜜月」の終わり──英国でも日本でも米国の国益に反した政権は崩壊する

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国防総省、イラン情勢にらみ中東に空母増派へ 最新

ワールド

五輪=CAS、「追悼ヘルメット」のウクライナ選手の

ワールド

米大統領上級顧問、鉄鋼・アルミ関税引き下げ計画を否

ワールド

ドイツ首相、米欧の関係再構築呼びかけ 防衛力強化の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベルの「若見え」な女性の写真にSNS震撼
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    毛沢東への回帰? それとも進化? 終身支配へ突き…
  • 8
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 9
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 10
    「賢明な権威主義」は自由主義に勝る? 自由がない…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中