最新記事

米中関係

駐米中国大使とも密通していたクシュナー氏

2017年5月29日(月)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

中国に取り込まれたトランプ大統領の娘イヴァンカさんとその夫クシュナー氏 Jonathan Erns-REUTERS

ロシア・ゲートで疑惑を受けているトランプ大統領の娘婿クシュナー氏は駐米中国大使とも密通し、トランプ大統領を親中に誘導していた。米国がAIIBに入れば日本も入る。中国の天下だ。背後にはキッシンジャー元国務長官が。

「クシュナー&駐米中国大使」路線を構築せよ!

昨年11月8日にトランプ氏が大統領に当選すると、同月17日、トランプ次期大統領はキッシンジャー元国務長官と会い、アジア外交問題に関してアドバイスを受けた。そのとき娘婿のクシュナー氏と、ロシア問題で後に大統領補佐官(安全保障担当)を辞任することになるフリン氏が同席していた。中国のウェブサイトThe Paperなどが伝えている。

12月2日にキッシンジャー氏は北京で習近平国家主席と会談していたが、その同じ日にトランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統と電話会談したことは既知の事実だ。

しかしキッシンジャー氏がアメリカに帰国した後の12月6日、クシュナー氏に会って、中国の楊潔チ・国務委員と会うように忠告したことは、あまり知られていない。

楊潔チ氏は、12月11日と12日、ラテンアメリカに行くことになっていた。そのトランジットでニューヨークに立ち寄り、12月9日と10日、キッシンジャーの仲介で、楊潔チ氏は崔天凱・駐米中国大使とともに、クシュナー氏に会った。ワシントン・ポストが報じている。

会談場所はクシュナー氏の執務室だ!

その結果はまだ、クシュナー氏からトランプ次期大統領に伝えられてはいなかったのか、あるいは敢えて揺さぶったのか、12月12日、トランプ氏は「(貿易問題に対する)中国の対応次第によっては、アメリカは必ずしも『一つの中国』原則に束縛されるものではない」という爆弾発言をした。

キッシンジャー氏と駐米中国大使館は慌ただしく動いた。

そして中国の春節(1月28日~)の初五(5日目)に当たる2017年2月1日、崔天凱大使はトランプ大統領の娘・イヴァンカさんとイヴァンカの娘アラベラちゃんを中国大使館の「春節の宴」に招いた。

その背後では凄まじい勢いでクシュナー氏とイヴァンカさんを中国陣営に取り込む作戦が実行に移されていた。

中文メディアでは「クシュナーと中国大使との関係構築工作」という言葉で表現されている。つまり習近平国家主席が、崔天凱大使を使って、イヴァンカさんを取りこみ、クシュナー氏を中国陣営に取り込んで、トランプ内閣を改造させろという作戦である。

トランプ大統領が娘イヴァンカさんの言いなりになり、その婿クシュナー氏を重用していることに目をつけた中国は、「クシュナーとイヴァンカ」にターゲットを絞ったのである。

クシュナー氏は1月20日に大統領上級顧問に就任している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ノーベル平和賞マチャド氏、授賞式間に合わず 「自由

ワールド

ベネズエラ沖の麻薬船攻撃、米国民の約半数が反対=世

ワールド

韓国大統領、宗教団体と政治家の関係巡り調査指示

ビジネス

エアバス、受注数で6年ぶりボーイング下回る可能性=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 3
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 4
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡…
  • 5
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 6
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 7
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中