最新記事

ペット

IS掃討作戦から生還した「平和」という名の猫 運命の糸で結ばれた第2の住処

2017年4月21日(金)17時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

CEN/YouTube

<ISISの激戦地シリア・アレッポの瓦礫の山から救い出された子猫が歩んだ第2の家への道のりとは......>

トルコ軍とシリアの反体制派「自由シリア軍」がアレッポ県アル=バーブを過激派組織ISIS(自称「イスラム国」)から奪還した今年2月の戦闘で、崩壊した建物から一匹の野良猫が奇跡的に救出された。

2月27日付けの現地の報道によれば、トルコ軍の兵士、ウマル・オズカンは、アル=バーブの瓦礫の中で憔悴した猫を見つけた。生後8カ月の赤毛の子猫だった。エサを与え、トルコ語で平和を意味する「バリス」という名前も付けたが、戦闘のために飼うことはできない。オズカンがSNSで支援を呼び掛けると、シリアとの国境にあるトルコの町ガジアンテプの支援団体が引き取ってくれた。

【参考記事】「世界猫の日」分断解消のカギを握るネコたち

戦場から生還したバリスは「奇跡の猫」として多くのメディアに取り上げられ、里親の申し出は数千件にのぼった。その1つが、イスタンブールの出版社クルムズ・ケディ(トルコ語で赤毛の猫の意)だ。クルムズ・ケディの従業員はすぐに連絡を取り、バリスが一時的に保護されていたガジアンテプへ迎えに駆けつけた。

【参考記事】「ホントは、マタタビよりもゴハンよりも人間が好き」――猫より

今月上旬、バリスは、アル=バーブから145キロメートルの旅を終え、ついにイスタンブールにたどり着き、出版社の一員として迎えられた。ある社員は本誌に対し「無実の人々や動物が死んでいく中、バリスにもう一度生きるチャンスを与えられることは嬉しい」と語った。

バリスの新居は、イスタンブールの目抜き通り近くのタクシム広場から歩いてすぐ。平和と生き残りのシンボルとして、今日も訪れた人に希望を与え続けている。

【参考記事】【EU残留派ネコ】ブレグジットはボクも心配だニャ~!

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カナダ首相がフロリダ訪問、トランプ氏と会談へ

ビジネス

英中銀、危機時のノンバンクの脆弱性指摘 金融システ

ビジネス

中国11月製造業PMI、2カ月連続で50上回る 景

ビジネス

英中銀、貿易障壁の高まりによるリスク警告 借入コス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 2
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 3
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える新型ドローン・システム
  • 4
    「すぐ消える」という説明を信じて女性が入れた「最…
  • 5
    バルト海の海底ケーブルは海底に下ろした錨を引きず…
  • 6
    LED化を超える省エネ、ウェルビーイング推進...パナ…
  • 7
    真っ赤な「溶岩の海」が翼のすぐ下に...飛行機からア…
  • 8
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 9
    EU離脱を選択した英国の大誤算...移民の純増数が当時…
  • 10
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 3
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 4
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 5
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 6
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 7
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていた…
  • 8
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 9
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 10
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中