メルケルがアフリカでドイツ版マーシャルプラン、欧州に囲い込み目指す
アフリカで難民を出さない努力を始めたメルケル独首相 Yves Herman-REUTERS
第2次大戦後、アメリカは共産主義勢力の拡張を阻止するため、戦争で壊滅した西ヨーロッパ諸国のインフラを再建し、弱体化した経済を復活させる経済復興援助計画「マーシャルプラン」を実施した。先月ドイツ政府は、それを彷彿とさせる「マーシャルプランとアフリカ」と題する大胆な取り組みを明らかにした。目的は2つある。アフリカ大陸の貿易や開発を活発化させること、もう一つは、地中海を経由して欧州に渡る大量の難民や不法移民を抑制することだ。
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「アフリカとヨーロッパ──開発、平和、より良い未来に向けた新たなパートナーシップ」と銘打った34ページに及ぶ計画を発表しながら、ゲルト・ミュラー独経済協力・開発相はこう論じた。「ヨーロッパにとって、アフリカの命運は試練と機会の両方を意味する。共に課題を解決しなければ、いずれ我々に降りかかってくる」
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ミュラーの認識は、国際労働機関(ILO)が1月上旬に発表した2017年度版の「世界の雇用・社会見通し」で挙げられた懸念を反映していた。報告書は、年内にアフリカで失業者数が120万人増加する見通しを示し、「良質な雇用機会を創出しなければ、アフリカを去って移民労働をするインセンティブが更に増大するリスクがある」と警告した。
リビアへ支援強化
移民の流入を防ぐためにドイツがアフリカに提示した開発援助は、2015年11月にマルタの首都バレッタで開催された難民・移民問題を話し合うEUとアフリカ諸国の首脳会議(サミット)以後で最新の提案だ。
当時サミットで、アフリカ諸国の経済開発を援助し、欧州に渡った難民や移民の送還を流出国に受け入れさせるため、18億ユーロの緊急基金を設立した。昨年12月にはEUを代表して合意文書に署名したオランダの外務省が声明を発表。欧州で難民申請を却下された自国民の送還を西アフリカ諸国が受け入れるのと引き換えに、EUが総額1億4500万ユーロの資金援助を拠出することで、EUと西アフリカのマリが合意した。今月3日にバレッタで開かれたEUの非公式の首脳会議では、難民・移民対策として、主要な経由国であるリビアへの支援を強化することで合意した。
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とりわけ関心が集まるのは、自国民の送還受け入れに協力しないアフリカ諸国の扱いだ。ドイツの連立与党内には、非協力的な国への援助は止めるべきだと主張し、ミュラーが示した方針には何のペナルティーも含まれていないとやり玉に上げる動きもある。今年の5月にイタリアのタオルミーナで開催される主要7カ国(G7)首脳会議でも、昨年に続いてアフリカと難民・移民問題が焦点になる予定だ。