カジノ法成立にらみ海外運営会社が日本へ 依存症対策も主導
1月27日、統合型リゾート推進法の成立を受け、海外のカジノ運営会社が続々と日本を訪れている。2013年に都内で行われた、国際観光シンポジウムで撮影(2017年 ロイター/Yuya Shino)
統合型リゾート(IR)推進法の成立を受け、海外のカジノ運営会社が続々と日本を訪れている。誘致に前向きな自治体や企業との関係強化を図り、申請に向けた準備を進めておくためだ。
カジノ解禁のカギを握る依存症対策についても当局への説明を強化している。
世界第2の市場へ、強い意気込み
複数の関係者は、海外のカジノ運営会社の幹部が年明け以降、「新年のあいさつも兼ねて次々と日本に来ている」と明かす。訪問先は札幌市、大阪市、長崎県佐世保市など。
米ハード・ロック・カフェ・インターナショナル、米ボイド・ゲーミングなど、カジノやホテルの運営でノウハウのある企業がこれらの自治体や企業を訪問し、ネットワーキングを広げている。
シンガポールが10年以上前にカジノを解禁した際、ライセンスの認可を受けたのはマレーシアのゲンティン、米ラスベガス・サンズの2社だけだった。運営会社の多くは、ラスベガスに次ぐ世界第2の市場となる可能性がある日本のカジノに、「この大きなビジネスチャンスを落とすわけには行かない」と意気込んでいる。
米MGMリゾーツも日本に熱い視線を注ぐ1社。同社はスタッフを増員し、日本に投じるリソース(経営資源)を拡大する予定だ。
依存症対策もリード
推進法の成立をふまえ、今年12月までに別の法案(IR実施法案)が国会に提出されることになる。カジノ導入の際、最も懸念される問題でもあるギャンブル依存症対策に焦点をあてた法案も検討される可能性がある。
海外のカジノ運営会社も、ギャンブル依存症対策の重要性を口をそろえて指摘する。ある海外運営会社の幹部は厚生労働省に出向き、運営会社が拠点とする国での依存症対策の説明を重ねているほか、同省の幹部に現地の対策センターの見学を働きかけるなど、積極的な動きを見せる。