お正月、日本の美にふれる 幻の絵巻も初公開「すみだ北斎美術館」
葛飾北斎 《隅田川両岸景色図巻(部分:吉原室内)》 すみだ北斎美術館蔵 隅田川に遊んだ後は吉原の華やかな廓の風景が。さりげなく施された金彩も美しい絵巻のエンディング・シーンです。
日本が世界に誇る浮世絵師・葛飾北斎は、本所割下水(現在の墨田区の北斎通り)付近に生まれました。この稀代の天才は、約90回もの引っ越しをしたことでも知られていますが、生涯をほぼ現在の墨田区内で過ごしながら、江戸後期の風物の傑作を生み出したのです。
その北斎ゆかりの地に、新たに「すみだ北斎美術館」がオープンしました。墨田区のコレクションに、世界有数のコレクターであり、研究者でもあったピーター・モースのコレクション、日本の浮世絵研究の第一人者といわれる楢﨑宗重のコレクションという、豪華なラインアップで、さらに研究を進めるとともにその成果を企画展などを通して世界に発信していく拠点として機能します。
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「街に開き、地域住民の方々に親しまれる美術館」をコンセプトに設計された建物は、ルーヴル美術館のランス分館も手がけた妹島知世によるもの。公園の一角に全身アルミの輝きを放つ建物は、やわらかく周囲の風景を映しだし、ゆるやかにスリットで分割されて、どこからでもアプローチが可能になっています。
開館を記念した「北斎の帰還」展は、生誕の地でのオープンとともに、幻の絵巻とされていた『隅田川両岸景色図巻』の100余年ぶりの再発見と収蔵を記念したダブル帰還を寿ぐもの。
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全長7mからなるこの絵巻は、長らく海外に流失したまま所在が不明だったものが、2015年、墨田区に帰ってきました。この初公開のお披露目を兼ねた全巻一挙公開は必見です! このほか、紹介される錦絵、版本、肉筆画などは、メジャーどころ、名品ぞろい。摺りも保存状態もすばらしく、希少な逸品もならび、これからの企画展への期待も広がります。