カナダ人を斬首したアジアの過激派アブサヤフとは
アブサヤフはどこにいるのか?
主としてミンダナオ島およびスルー諸島を拠点とし、ジョロ島、バシラン島から行動を起こしている。フィリピン南部で起こしてきた数々の反政府活動により、アメリカ、EU(欧州連合)、カナダはいずれもアブサヤフを過激派組織に指定している。
アブサヤフはどの国際テロ組織とつながりがあるか?
伝統的にはアルカイダと連携してきたが、2014年のISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)勃興以後は、ISISに忠誠を誓うアブサヤフ内のグループ(セル)がいくつも出てきた。対テロ戦争の報道・分析を行うロング・ウォー・ジャーナルによれば、3月にアブサヤフのジュンド・アル・タウヒードというグループがISISに忠誠を誓い、3つめのグループとなった。ISISのメディア「Furat」がその忠誠を誓った際の映像を公開し、そこには最高指導者のイスニロン・ハピロンも映っていた。
アブサヤフは現在、ISISの黒い旗も使用している。だが、エジプトのシナイ半島で活動するISIS傘下組織「シナイ州」のように、ISISの忠実な分派として活動するのではなく、「ISISブランド」を使って自身の知名度を上げようとしているのだろうと専門家は分析する。ISISは2014年6月にシリアとイラクにまたがる地域で「カリフ国」を設立して以来、国際的な注目を集めるようになった。
アブサヤフの目的は何か?
分離独立派の組織として、主たる目的は、暴力と恐怖により、モロ族の人々のためにフィリピン南部に厳格なイスラム法に基づく国家を築くことだ。モロ族はこの地域のイスラム教徒を総称する呼称で、フィリピンでは少数派である。
だが現実には、アブサヤフの活動の大半は金銭的な動機に基づいているようだ。身代金目的の誘拐を何度も行ってきた。金銭を得ようとするのは、政治目的を達成する活動の原資とするためなのか、組織内の各グループ(セル)の指導者たちが私腹を肥やすためなのか、はっきりしていない。