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シリアISとの戦いで窮地、アサド「兵が足りない」
内戦の間隙をISISに突かれて敗走を重ね弱体化したシリア軍
弱気 劣勢を認めたシリアの独裁者アサド SANA-REUTERS
シリアの独裁者、バシャル・アサド大統領は1年ぶりの演説で、内戦のために兵は不足し、広範な国土も失った、と異例の訴えをした。演説は先週末、政府要人を集めた首都ダマスカスで行われ、テレビでも中継された。
それでもアサドは戦いには勝利すると宣言。シリア軍が一部地域の放棄を余儀なくされたのは、他のより重要な支配地域を死守するためだったと述べた。既に国土の国土の75%を失った、という報道もある。
「ある土地を守り抜くためには、そこに兵力を集中して他の土地を諦めざるを得ない場合もある」とアサドは言う。「人材が不足している......軍に必要なものは何でも調達できるが、兵士だけはどうにもならない」
今年3月で5年目に突入したシリア内戦は、もともとはアサドの政府軍と反政府軍との武力衝突から始まったが、そこへテロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)が入ってきた。シリアの国土の約半分は現在、ISISの支配下にある。
ISISに支配された地域のなかにはトルコ国境に近いイドリブや古都パルミラ、ラッカなどが含まれる。ラッカは現在、ISISの事実上の首都になっている。
アサドは内戦の政治的な解決を支持すると言いつつ、それがテロの一掃を前提としたものでなければ「空っぽで無意味だ」と、暗にISISや反政府軍の掃討を条件に匂わせた。
兵士には給与増額と1日1回の温かい食事を約束
かつてシリア軍には30万人の兵士がいたが、この内戦で約8万人が殺されたという。脱走や徴兵忌避も兵士不足の一因だと、独立系テレビ局のアルジャジーラは報じている。
シリア軍は先月、若者たちに対して兵役に就くよう呼びかけ、前線部隊には給与を増額するとともに1日最低1回は温かい食事を出すと約束した、とAP通信は伝えている。
シリア内戦ではこれまで、推定で23万人が死に、100万人以上が負傷した。400万人が母国を逃れて難民になっているほか、何百万人という市民がシリアの国境地帯に避難している。
シリア情勢は、最近トルコが対ISIS戦争に参戦したことで、一層複雑化している。