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チベット中国当局「チベット人大量拘束」の理由
ダライ・ラマ14世の宗教行事から帰国したチベット人を中国政府が数百人規模で拘束したと、人権擁護団体が報告。中国が警戒を高める「Xデー」とは
束の間の希望 今年初めにダライ・ラマ14世がインドで宗教行事を開いた際には、中国当局の締め付けが緩和したように見えたが(1月1日) Jitendra Prakash-Reuters
中国当局がチベット人を数百人規模で一斉拘束した----先週、米人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチが衝撃的な報告を行った。
同団体に寄せられた情報によれば、拘束されたのはチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世がインドで開いた宗教行事に参加した中国在住のチベット人。帰国後に拘束され、現在は中国当局による政治的な「再教育」プログラムを受けているという。
中国政府がこれほど大規模にチベット人を拘束するのは70年代末以降初めてだろうと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは言及している。
中国政府外交部の劉為民(リウ・ウェイミン)報道官は定例記者会見で、チベット自治区での焼身自殺や社会不安は中国国外の組織が招いたという従来の見方を繰り返したものの、チベット人の拘束については一言も触れなかったという。
インド東部のビハールでは、12月31日〜1月10日にダライ・ラマ14世による宗教行事が開かれた。この時、中国当局はチベット人約7000人にネパールやインドへの渡航を許可し、チベット人への締め付けが緩和される兆しとみられていたが、最近になってチベット人居住地域で暴動や焼身自殺が相次いだため、締め付け強化へと逆戻りしたようだ。
チベット自治区に大量の治安部隊を配備
ヒューマン・ライツ・ウォッチによれば、今回のような拘束の期間は20日〜3カ月とみられる。「この手の集会への出席を禁じる規制はない。再教育を受けさせられているチベット人たちは、文書偽造や不法入国などの犯罪で告発されているわけでもない」と報告書は記している。
一方、同じ宗教行事の参加者でも中国人は拘束されなかったとも指摘。とはいえ、帰国時にダライ・ラマに関する宗教的なものを所持していた者は、所持品を差し押さえられて拘束されたという未確認情報もあるという。
チベット暦の新年となる2月22日には、チベット人自治区周辺で再び暴動が起きる可能性がある。中国政府はそれを見越して封じ込めにかかった----チベット亡命政府のロブサン・サンゲイ首相は先週、AP通信にそうした見方を示した。
サンゲイは22日だけでなく、チベット蜂起の記念日である3月10日にもチベット人による暴動が起きるだろうと指摘。3月10日と言えば、1959年に中国軍の侵攻に対してチベット人がチベット自治区の中心都市ラサで大規模な抗議行動を起こした日だ。中国当局は既にチベット自治区に大量の治安部隊を送り込んでいる。