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ベルギー仏語圏とオランダ語圏、国家分裂の危機
オランダ語圏の分離独立要求で首相が退陣、「EUの首都」の混迷は深まるばかり
4月22日、ベルギーのルテルム首相が辞表を提出し、政権が崩壊した。南部フランス語圏と北部オランダ語圏との間で長年対立を深めていたベルギーは、新たな政治的混乱に陥っている。
それぞれの言語圏の政治家は、統一国家としてベルギーが存続する意義に疑問を投げ掛けている。オランダ語圏の分離独立派は議会で独立を求め、ヨーロッパ中のメディアはベルギーが分裂の危機にあると騒ぎ立てている。
経済は「北海のギリシャ」化?
ベルギーが景気低迷から抜け出せずにいるだけに、タイミングとしては最悪だ。失業率は過去20年で最悪、国家財政は大規模な赤字に陥っている。政治不安によって投資家の信頼が低下する可能性があり、財界のリーダーらはベルギーが「北海のギリシャ」になりかねないと警告を発している。
ルテルムの辞表提出のきっかけになったのは、連立政権に参加するオランダ語圏の政党の1つ、オランダ語系自由党が離脱し、連立が崩壊したこと。議会で過半数を占めるオランダ語圏の政党は、対立の象徴となっているブリュッセル首都圏の選挙区の分割を目指すとしている。一方でフランス語圏の人々は、フランス語住民が多数を占めるブリュッセルで、オランダ語住民の権利を制限すると報復の構えを見せている。
[2010年5月 5日号掲載]