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アフガニスタンタリバン幹部拘束が新たな頭痛のタネに
アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンのナンバー2とされるアブドル・ガニ・バラダルがパキスタンで拘束されたことが、2月17日に明らかになった。1日18時間働いて戦略を練り、人望も厚かったバラダルを失ったことは、タリバンにとって大きな痛手になるだろうと思われた。
だが30年に及ぶ紛争でアフガン人は高い危機管理能力を身に付けていた。情報筋などによれば、バラダルの「穴」は当面、少なくとも3人の幹部による集団指導で埋めることになるようだ。
1人はバラダルの副官で、忍耐強くて寛容な人物と評判のアクタル・モハマド・マンスール。もう1人はバラダルの後継者とも目され、冷酷で短気と評される軍事委員会のアブドゥル・カユム・ザキール委員長。3人目は首都カブール周辺を含む中部地域の司令官モハマド・ナシルだ。
この陣容はアフガニスタン政府にとっては新たな頭痛の種になりそうだ。まず、バラダルがいなくなってタリバンとの話し合いを行うのが難しくなった。集団指導体制になればタリバンも思い切った決断を下しにくくなるだろう。
それにタリバンはリスク分散の重要性を身をもって知った。ある司令官が言うように「1人の大物だけが責任を担うのは危険」だと気付いたのだ。
[2010年3月 3日号掲載]