最新記事

投資

投資家が夢見る、大化けする銘柄「テンバガー」は意外と身近

2018年6月27日(水)16時10分
株の窓口

Pinkypills-iStock.

<「テンバガー」は、株価が10倍に跳ね上がる株(10倍株)のこと。誰もが夢見るが、実は意外と身近な存在だ。どんな銘柄が大化けしやすいのか>

「テンバガー(10倍株)を見つけるには、まず自分の家の近くから始めることだ」――これは、アメリカの伝説的なファンド・マネージャー、ピーター・リンチの言葉です。投じたお金が10倍に膨れ上がるなんて、投資家なら一度は夢見るでしょう。でも実は、身近なところにこそ「テンバガーの卵」が隠れているのです。

第二のユニクロを探せ!

誰もが知っているテンバガーたち

日本を代表するテンバガーといえば、「ユニクロ」のファーストリテイリング<9983>です。1998年11月28日のユニクロ原宿店オープン当日、筆者は開店前の大行列に並んだひとりでした。

当時のユニクロを象徴する「フリース」が、オープンと同時に飛ぶように売れていきました。ひとり2枚や3枚は当たり前といった様子で、次々に買い物カゴに放り込まれていく様子を見て「ものすごい会社だ!」と驚いたことを、いまでも鮮明に覚えています。

と同時に、こんな悔恨の声が頭の中に聞こえてきます。「あのとき、ユニクロ株を買っておけば......」。同社の株価は、1998年の安値から、2015年7月には約236倍に上昇しました(本記事ではすべて株式分割・統合など調整後の株価で算出しています)。

kabumado170915-chart1b.png

ほかにも、ヤフー<4689>、ニトリ<9843>、「すき家」を展開するゼンショー<7550>など、いまでは誰でも知る企業も80倍を超えるテンバガーとなりました。このことからも、テンバガーは必ずしも「大穴」ではないことがわかります。

10倍に「大化け」する株

「テンバガー(ten bagger)」とは、株価が10倍に跳ね上がる株(10倍株)を指します。もともとは野球用語で、「1試合で通算10塁打」という大記録を達成することを意味していました。それが、ウォール街で「株価が10倍に大化けした株」という意味で使われるようになったと言います。

この言葉を世に広めたのは、先のピーター・リンチ。米大手運用会社フィディリティの「マゼランファンド」を1977年から13年間運用し、2000万ドルだった資産を140億ドルへと育て上げた伝説のファンド・マネージャーです。

過去5年のテンバガーは46銘柄

下の表は、日本で過去5年間にテンバガーとなった銘柄のリストです。実に、46銘柄がテンバガーとなっています(2017年6月時点で集計。株式分割・統合など調整後の株価で算出)。

kabumado170915-chart2b.png

●テンバガーになる銘柄の傾向とは?

これら実際にテンバガーとなった銘柄を分析すると、次のような傾向があることがわかります。

・時価総額が300億円以下の中小型株
・上場から10年以内の企業
・低い株価で推移していた低位株
・新興の産業やベンチャー企業
・旬のテーマや話題性のある企業
・業績が急拡大、または急拡大が予想されるもの

業種としては、サービス業、インターネット通信業、IT関連企業に多いと言えます。

●時価総額300億円以下の中小型株を狙え!

企業のサイズ(時価総額)は株価の動きに大きく影響します。時価総額は「株価」に「発行済株数」をかけて算出します。

時価総額が大きいとあまり値動きがなく、小さいほど値動きは大きくなります。このことは、時価総額が20兆円を超えるトヨタ自動車<7203>の株価が、いきなり2倍、3倍にはならないことを考えれば理解できるでしょう。

特に小型株は、「浮動株(市場に幅広く流通して常に売買されている株)」が比較的少なく、大型株よりも上昇する可能性が大きくなります。市場に流通している株数が少ないために、株価上昇につながる材料があると一気に品薄状態となり、株価が10倍、20倍と大きく膨れ上がるためです。

そのためテンバガーを狙うなら、東証1部上場銘柄ではなく、東証2部やマザーズ、ジャスダックに上場している中小企業で探すことをお勧めします。

(参考記事)時価総額から見えてくる意外な事実 プロは常にここを意識している

ではここからは、実際にテンバガーとなった銘柄を例に、大化けしやすい傾向について詳しくひもといていきます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米メーシーズ、第4四半期利益が予想超え 関税影響で

ワールド

ブラジル副大統領、米商務長官と「前向きな会談」 関

ワールド

トランプ氏「日本に米国防衛する必要ない」、日米安保

ワールド

トランプ氏、1カ月半内にサウジ訪問か 1兆ドルの対
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに
  • 4
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 5
    一世帯5000ドルの「DOGE還付金」は金持ち優遇? 年…
  • 6
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 9
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 10
    34年の下積みの末、アカデミー賞にも...「ハリウッド…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中