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金融第一生命HD稲垣社長インタビュー「10年後に利益の半分は海外部門の可能性」
第一生命ホールディングスの稲垣精二社長は、低金利が続く国内の金利水準に変化がなければ、10年後には利益の半分を海外部門が占める可能性があると語った。都内で2010年3月撮影(2019年 ロイター/YURIKO NAKAO)
第一生命ホールディングスの稲垣精二社長は、低金利が続く国内の金利水準に変化がなければ、10年後には利益の半分を海外部門が占める可能性があると語った。成長ドライバーは海外と位置付け「第一生命の運用リスクを徐々に落としていくことによって、海外のリスクを取っている。その方がリスク1単位当たりのリターンは高い」と述べた。
第一生命の稲垣社長はインタビューで、今後の成長について、国内事業は金利環境に大きく依存しているとした上で「2020年度までの現在の中期経営計画も、国内生保事業は横ばい。利益ドライバーは海外だ」と語った。
5年前に買収した米保険会社、プロテクティブは、内部資本を活用して2年連続で大型買収を実現。そのほか、豪州やベトナムで実施したM&Aが収益化に結び付いているとし「こういうアクションが今後の利益成長、足元の利益成長につながっている。そのサイクルは続けていきたい」とした。
稼ぎ頭の第一生命の利益の8割を持ち株会社が吸い上げ、すでに進出している米国や豪州などの子会社の増資に充てている。今後も海外子会社への資本投下を通じて「種をまいた海外を育てていく。今後10年は海外部門が利益面でけん引していくと、かなり確度をもって見通している」とした。一方で「中国や欧州での市場参入は考えていない」と慎重な姿勢を示した。
運用リスクと事業リスクのバランスについては、常に資本コストを意識して事業展開していると説明。「例えば国内株を買うためには、資本充足の観点からリスク量の1.7倍の資本が必要だ。このため第一生命の運用リスクを徐々に落とすことで、海外のリスクを取ることができている。その方がリスク1単位当たりのリターンは高い」と話し、他社と異なる経営戦略を採っていると強調した。
大手生保の中で唯一の上場保険会社として、株主であるアクティビスト・ファンドへの対応も余儀なくされている。「市場の監視を受けて、自らの戦略を見つめ直すことができることはむしろプラス。適温のお風呂の方が気持ちいいのかもしれないが、時には熱湯の滝に打たれた方が結果的に事業戦略が洗練されると思う」と語った。
*インタビューは、7月12日に実施しました。
(布施太郎、梅川崇 編集:田巻一彦)
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