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中国経済中国人も戸惑う人民元切り上げ
輸出業者もエコノミストも、当局の曖昧な声明に不意を突かれた
商売はどうなる? 6月21日、人民元札を眺める中国北部・山西省のスイカ売り Reuters
人民元相場の弾力性を高め、過去23カ月続いた事実上の対ドル固定相場制を廃止するという6月19日夜の中国人民銀行(中央銀行)の発表には、今更誰も驚かなかった。だがその影響となると、専門家さえ予測できずにいる。
人民元相場はどれほど上昇するのか、そもそも本当に上昇するのかどうか、北京のエコノミストたちの意見はバラバラだ。
北京以外でも、国中の製造業者が人民元高がどれぐらい収益を圧迫するのか、とりわけ既にドル建てで成約済みの輸出から受け取る人民元の売り上げがどれだけ減るのか気を揉んでいる。
つまり人民元の切り上げ自体はいつかは来ると分かっていたものの、人民銀行のいささか曖昧な発表には不意を突かれてしまった、というわけだ。
「我々は人民元改革を一歩進め、人民元の弾力性を高めることにした」と、人民銀行は声明で言う。世界的な金融危機の間も中国経済の安定を下支えする役割を果たしてきた、と人民銀行が自画自賛する人民元の対ドル固定相場制はこれで終わった。
声明後初めての為替取引が行われた21日の人民元相場は、対ドルで05年7月以来の最高値を更新した。ただし先週末からの上昇率は0・42%にとどまった。
アメリカをなだめる意味しかない
中国のエコノミストは今のところ、今回の発表の影響はそれほど大きくないと見ている。対ドル固定相場制を止めることで、人民元相場は上昇どころか下落する可能性さえあるとの声まで上がっている。
中国のシンクタンク中国社会科学院のエコノミスト袁鋼明(ユアン・カンミン)は、人民元相場の上昇が望ましいと考えているが、人民銀行の発表には、人民元の切り上げを求めるアメリカをなだめる意味しかないと考えている。中国経済は不安定な状態にあり、政府が製造業の業績を圧迫するような急激な政策転換をするはずがないと袁は言う。
人民元相場は「今年いっぱいは変わらないだろう」と、袁は予測する。他の多くのエコノミストは袁ほど懐疑的ではない。だがそうは言っても、人民元の行方については誰もわからないのが正直なところだ。
中国の輸出企業数社は21日、人民元高が業績を圧迫すると懸念を表明した。中国では既に労働者の賃金や設備費が上昇しており、人民元が上昇すれば更に経営は苦しくなる。
「どんな対処ができるか、まだ分からない」と、福建省の玩具メーカーで貿易を担当するシアオ・チャンは言う。「何かいいアドバイスをくれないか?」
人民銀行の「改革」の真意がはっきりするまで、それは誰にも不可能だ。
(GlobalPost.com特約)