コラム

new-style(新型)coronavirus, stay reki(渡航歴)...厚労省の新型ウイルス情報の英語がひどかった

2020年02月23日(日)10時00分

厚生労働省ウェブサイトのトップページ

<厚労省のウェブサイトを見ると、新型コロナウイルスに関する重要な情報は不自然な英語が多く、また日本語の分からない人には見つけにくいという問題があった(その後、批判されて改善されたが)。問題は質の低い機械翻訳にあり、その根本は今も変わっていない>

先日、東京のとあるホテルのエレベーターに乗ると、日本語と英語と中国語で書かれた「咳エチケット」のポスターが貼ってありました。新型コロナウイルスの蔓延が懸念される中では当たり前のように思われますが、そのポスターを見て私は驚きました。ポスターの英語があまりにもおかしかったからです。

●With doing nothing, a cough and a sneeze are done.
When doing a cough and a sneeze, about 2 m of spray flie
s.
There is a possibility that a pathogen is included in spray, a
nd there is a possibility that I infect other people with the d
isease.

ポスターの上部には厚生労働省のURLが書かれてあったので、早速チェックしてみました。

厚労省のサイトの右上にある「English site」をクリックすると英語のページに移りますが、上のツイートをした2月16日の時点では、そこにコロナウイルス関連の情報は見当たりませんでした。そこで次に、日本語サイトのコロナウイルス関連のページを開き、ページの左上にある「言語切替」で英語を選択しました。

すると出てきたのが、下記のメッセージです。

●The following pages are translated by a machine translation system.
Note that the machine translation system doesn't guarantee 100% correctness.
Some proper nouns might not be translated correctly.
Some PDF might not be able to translate.

つまり、これから表示される英語のページは機械翻訳によるものというお知らせのメッセージなのですが、このメッセージの英語そのものがとても不自然(特に、Some PDF might not be able to translate. は Some PDFs may not be translatable. のほうがよいです)だったので、その後に表示される英語はあまり信頼できる翻訳ではないように思われます。

ホテルのエレベーターに貼ってあった咳エチケットの情報の変な英語も、この機械翻訳によるものです(参考)。ホテルの人は厚労省のサイトにあるものなら大丈夫だと判断したのかもしれませんが、決して「大丈夫」ではありませんでした。

私はコロナウイルスに関する他の情報もチェックしましたが、ごく少数のPDFと情報ページ1つを除く全てが同様に機械翻訳による理解しがたい英語で書かれていました。韓国語と中国語のオプションもありましたが、それも同程度の出来ではないかと疑われます。

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 北九州市立大学英米学科グローバルビジネスプログラム教授。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『英語の品格』(共著)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著)など著書多数。最新刊は『マンガでわかる外国人との働き方』(共著)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA

ビジネス

根強いインフレ、金融安定への主要リスク=FRB半期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story