レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい
夫人の目の前で白人警官に連行されるマーチン・ルーサー・キング牧師。ムーアの原点となった写真だ(58年、アラバマ州モンゴメリー)
公民権運動が大きなうねりを見せていた1958年9月3日、アラバマ州モンゴメリー。マーチン・ルーサー・キング牧師が白人警官に連行されようという現場に、たまたま居合わせた1人の白人男性がいた。27歳の若きカメラマン、チャールズ・ムーアだ。
ムーアが撮影したこの光景は、当時アメリカで絶大な影響力を持っていたライフ誌に掲載された。これをきっかけにして、その後も公民権運動の現場を撮り続けたムーアの写真は国民に大きな衝撃を与えた。それまで目を背け続けてきた現実を如実に突き付けられたからだ。
体を張って撮られた、怒りと活力みなぎる一連の写真は、64年の公民権法制定という新たな歴史にアメリカを突き動かしていった。
3月11日、79歳で他界したムーア。彼が残したモノクロの遺産は、いつまでも色あせない。
Charles Moore-Black Star
2010年4月7日号掲載

