レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい
地球を語るのに、言葉が役に立たない---そんな体験をしたことはないだろうか。地球は時として、ちっぽけな人間などのみ込んでしまうかのような迫力で、私たちから言葉を奪う。
ミッチ・ドブローナーの作品は、そんな神秘的な感覚を疑似体験させてくれるようだ。ドブローナーは言う。「撮影の間、世界が静まり返っていった。すべてが再び簡素化されていく---言葉では表現できないその世界に、敬意と畏怖の念が湧き上がる。そして、時間や空間など測定できない『ゾーン』に入る。外部世界と私の内面世界が一体化する瞬間だ」
ドブローナーは21歳のときに、アメリカ南西部の雄大な自然に出合った。だがその後の数年間は、スタジオ経営と家族を優先して撮影活動を封印。05年に再びカメラを手にし、現在「時間を取り戻す」べく地球の姿を記録し続けている。ドブローナーによると、「地球とは、変わり続ける生態系だ」。
私たちに見せる姿も、与える感動も、同じ瞬間は2度と来ない。このことを知る者にだけ、地球は特別な体験をさせてくれるのかもしれない。
写真展「 Tropospheres(対流圏)」
ウェスト・ハリウッドのコペイキン・ギャラリーにて、2010年1月30日〜3月6日まで開催
PHOTOGRAPHS BY MITCH DOBROWNER
[2009年8月12日号掲載]

