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NY市場サマリー(1日)ドル指数急落、S&P・ナスダック最高値

2020年12月02日(水)07時31分

[1日 ロイター] -

<為替> ドル指数が約2年半ぶりの安値を付けた。米国で追加経済支援策が実現するとの観測が高まったことでリスク選好度が上昇し、安全通貨と見なされるドルに売りが出た。

米議会の超党派グループはこの日、9080億ドルの新型コロナウイルス救済法案を提出。ホテルやレストラン、中小企業を支援する2280億ドルの追加給与保護プログラム(PPP)を含む緊急支援を3月31日まで実施する。

民主党のペロシ下院議長は、ムニューシン財務長官は、超党派の提案と民主党の案の双方を検証すると述べたと表明。

米連邦準備理事会(FRB)が15─16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で景気支援策を打ち出す可能性があるとの観測も、安全通貨としてのドルの重しとなると見られている。

リスク選好度が高まった時に買われる傾向があるユーロ、英ポンド、豪ドル、ニュージーランドルなどは上昇。ユーロとニュージーランドドルは対米ドルで約2年半ぶりの高値を付けた。

終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数は0.7%安の91.318。一時は91.263と、2018年4月下旬以来の安値を更新した。

ユーロは対ドルで1.2055ドルと、2年半ぶり高値を更新。終盤の取引では1%高の1.2049ドル。

英ポンドは対ドルで0.7%高の1.3410ドル。タイムズ・ラジオが英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)を巡る協議は集中的な最終段階に入ったと報じたことで、英ポンドは対ドルで一時、3カ月ぶり高値をつけた。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは3.8%安の1万8961ドル。前日の取引で過去最高値を更新していた。

<債券> 米債利回りが上昇。米国の新型コロナウイルス追加対策を巡る期待の高まりが要因となった。

指標10年債利回りは7.9ベーシスポイント(bp)上昇の0.9211%。一時0.938%と11月12日以来の高水準を付けた。イールドカーブ(利回り曲線)もスティープ化し、長短金利差は11月12日以来の大きさとなった。

10年債利回りの上昇は11月9日以降で最大だった。

10年物インフレ指数連動債(TIPS)は1.824%と、2019年5月以来の高水準に達した。

米議会の超党派グループは1日、9080億ドルの新型コロナウイルス救済法案を提出した。 これを受け、リスク選好の動きが安全資産である米国債の価格を押し下げ、利回り上昇につながった。

BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、ベン・ジェフリー氏は、新型コロナワクチンを巡る好材料が米国株を押し上げ、米国債の売りにつながっている一方、普通国債とTIPSの利回り格差であるブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)の上昇はインフレ期待の高まりを示唆していると述べた。

米供給管理協会(ISM)が1日に発表した11月の製造業景気指数が57.5と、10月の59.3から低下したことを受け、米債利回りは序盤の取引で一時伸び悩む場面があった。

2年債利回りは2.3bp上昇の0.1701%。10年債との金利差は6bp拡大し74.90bpとなった。

3カ月物財務省短期証券と5年債利回りの金利差も5bp超拡大し33.06bpと11月10日以来の大きさに接近した。

<株式> 反発し、S&P総合500種とナスダック総合が最高値で取引を終えた。新型コロナウイルスワクチンの実用化が近いとの見方が高まっているほか、中国の好調な製造業指標を受けて早期の景気回復への期待が広がった。

市場ではワクチン候補の承認の行方に注目が集まっている。ファイザーとモデルナは1日、それぞれが開発するコロナワクチンの条件付き緊急使用許可を欧州連合(EU)当局に申請した。

これを受けてファイザーの株価は約3%上昇。モデルナは前日に付けた最高値から8%近く下落した。

財新/マークイットが発表した11月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が10年ぶりの高水準となり、各国で株価が上昇したことも相場を支援した。

個別銘柄ではズーム・ビデオ・コミュニケーションズが15%急落。粗利益率への圧迫が来年も続くとの見通しを示したことを嫌気した。

テスラは3%高。S&P500種への新規採用についてS&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズが、基準日に一度に追加すると明らかにした。

マイクロン・テクノロジーは4.7%高。2021年度第1・四半期の売上高、利益、粗利益率の見通しを引き上げたことを好感した。

ビジネス対話アプリのスラック・テクノロジーズは引け後の取引で1%下落。顧客管理ソフト大手セールスフォース・ドットコムが約280億ドルで買収すると発表した。セールスフォースは3.5%安。

<金先物> 対ユーロでのドル安を背景に買われ、反発した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比38.00ドル(2.1%)高の1オンス=1818.90ドル。外国為替市場では対ユーロでドル安が進行。ドル建てで取引される金塊などの商品の割安感につながり、金塊が買われた。また、1800ドルの心理的な節目の水準を回復したことで買いが加速した面もあった。

市場参加者からは前日までの下落の反動からショートカバーや安値拾いの買いが入りやすかったとの声もあった。

<米原油先物>  石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟国で構成する「OPECプラス」の協調減産を巡る協議に注目が集まる中、3営業日続落。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は前日比0.79ドル(1.74%)安の1バレル=44.55ドル。2月物は0.78ドル安の44.73ドルとなった。

「OPECプラス」のこれまでの合意では、現行の日量770万バレルの協調減産を来年1月から580万バレルに縮小する予定だった。OPECは11月30日、テレビ会議で総会を開催したが、決定は持ち越された。現地報道などによると、この会合では現行の協調減産規模を来年1月から3カ月延長することで暫定的に合意。ただ、一部の国がこれに不満を表明したほか、非加盟国からも異論が出ており、協議にさらなる時間が必要だと判断した。

また、1日に開催予定だったロシアなどの非加盟国も交えた「OPECプラス」の閣僚級会合も3日に延期されたと伝わった。協調減産延長への不透明感が相場の重しとなり、この日は原油に売り圧力がかかった。

ドル/円 NY終値 104.30/104.35

始値 104.36

高値 104.57

安値 104.30

ユーロ/ドル NY終値 1.2070/1.2071

始値 1.1968

高値 1.2076

安値 1.1965

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 98*29.50 1.6709%

前営業日終値 101*09.00 1.5710%

10年債(指標銘柄) 17時05分 99*15.50 0.9293%

前営業日終値 100*10.00 0.8420%

5年債(指標銘柄) 17時04分 99*25.00 0.4193%

前営業日終値 100*02.25 0.3610%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.13 0.1701%

前営業日終値 99*30.63 0.1470%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 29823.92 +185.28 +0.63

前営業日終値 29638.64

ナスダック総合 12355.11 +156.37 +1.28

前営業日終値 12198.74

S&P総合500種 3662.45 +40.82 +1.13

前営業日終値 3621.63

COMEX金 2月限 1818.9 +38.0

前営業日終値 1780.9

COMEX銀 3月限 2409.0 +149.7

前営業日終値 2259.3

北海ブレント 2月限 47.42 ‐0.46

前営業日終値 47.88

米WTI先物 1月限 44.55 ‐0.79

前営業日終値 45.34

CRB商品指数 158.9394 ‐1.1164

前営業日終値 160.0558

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