［ワシントン　１６日　ロイター］ - 来月の債務返済期限を前に資金の枯渇に直面するギリシャは、同国向け追加支援に関する国際債権団との交渉をめぐる首相や財務相らの矛盾する言動が目立っている。支援の条件となる包括的な改革案での合意は厳しい情勢だ。

［ワシントン　１６日　ロイター］ - 来月の債務返済期限を前に資金の枯渇に直面するギリシャは、同国向け追加支援に関する国際債権団との交渉をめぐる首相や財務相らの矛盾する言動が目立っている。支援の条件となる包括的な改革案での合意は厳しい情勢だ。

同国のチプラス首相は１６日、ロイターの取材に対し、国際債権団との交渉について、年金や労働改革などの問題で摩擦があるものの、４月末までに合意が得られると「強く楽観視」していると述べた。

しかし、同国のバルファキス財務相はワシントンで同日、支援協議について国内経済問題の解決につながらない現行案で合意することはできないとの考えを表明。ブルッキングズ研究所での講演で、現在の経済状況では達成できない目標に合意するつもりはないと強調した。

市場から締め出されているギリシャが現時点で支援条件の受け入れを拒否していることを踏まえると、同国政府は今後数週間のうちに給与や年金を支払うか、あるいは国際通貨基金（ＩＭＦ）からの融資を返済するかという選択を迫られる可能性がある。

来月に迫るＩＭＦへの約１０億ドルの返済ができなければ、ギリシャはデフォルト（債務不履行）に陥り、結果的にユーロ圏から離脱することになりかねない。

欧州委員会のモスコビシ委員（経済・財務担当）は１６日、ギリシャがユーロ圏を離脱すればユーロ圏全体にとって大きな打撃となると指摘しながらも、ギリシャの経済規模や欧州銀行同盟の存在などを踏まえると、離脱した場合でも財政的な影響は抑制できるとの見解を示した。

同委員はギリシャ支援協議について、代替案の検討を開始すれば現在交渉中の案に対する信頼がなくなるため、代替案はないとの考えも示した。

また、国際通貨基金（ＩＭＦ）のラガルド専務理事は、ギリシャの年金制度は持続不可能であり、改革が必要と指摘。税制なども見直し、競争力を強化するため製品・サービス市場の自由化を進めなければならないと提言した。

ユーロ圏政府は、今月２４日にラトビアのリガで開催するユーロ圏財務相会合までに包括的な改革案でギリシャと合意することを目指していたが、域内当局者らは現段階では合意にこぎつけるシナリオは非現実的とみている。

ある当局者は「今後２週間のうちに状況に展開があると思う」と述べ、５月１１日の定例会合前にユーロ圏財務相の臨時会合が行われる可能性もあるとの認識を示した。