［ニューヨーク　１６日　ロイター］ - 米ゴールドマン・サックスが１６日発表した第１・四半期決算で株式トレーディング収入が急増し、この分野でライバルのモルガン・スタンレーから首位を奪還できるかどうかが注目を集めている。同社は２０日に決算を発表する。

［ニューヨーク　１６日　ロイター］ - 米ゴールドマン・サックスが１６日発表した第１・四半期決算で株式トレーディング収入が急増し、この分野でライバルのモルガン・スタンレーから首位を奪還できるかどうかが注目を集めている。同社は２０日に決算を発表する。

ゴールドマンは長年、株式トレーディングでモルガンに大きく水を開けていた。しかしここ数年でモルガンが勢力を伸ばし、２０１４年の株式トレーディング収入は、少なくとも過去１０年間で初めてゴールドマンを上回った。

調査会社コアリションのまとめによると、モルガンは金融業界のグローバルランキングでも首位に付けた。

ゴールドマンとモルガン・スタンレーは永遠のライバル関係にある。ゴールドマンがトレーディングやプリンシパル・インベストメント（自己資金による投資）の分野で抜きんでる傾向があるのに対し、モルガンは資産運用など、自身のバランスシートでリスクを取らない分野へと軸足を移してきた。

このためモルガンは、ここ数年の株式トレーディングの好調ぶりに自信を深めている。しかしアナリストらによると、ゴールドマンが第１・四半期決算で示した２３億ドルという株式トレーディング収入を上回るのは難しそうだ。

ゴールドマンの株式トレーディング収入は前年同期比４６％も急増しており、伸び率はＪＰモルガン・チェースの９％やシティグループの４％をはるかにしのいだ。バンク・オブ・アメリカは２％減少している。モルガン・スタンレーがゴールドマン並みの同収入を達成しようとすれば、３６％の伸びが必要になる。

＜相場急変動を好機に＞

ゴールドマンのハービー・シュワルツ最高財務責任者（ＣＦＯ）は、相場が予想外の方向に動いた時に利益を上げる株式オプションその他のデリバティブや、顧客向けのブロック取引が強みを発揮したと説明した。

特に欧州中央銀行（ＥＣＢ）の量的緩和で株と為替が急変動した欧州市場は好調で、「（ＥＣＢの緩和により）欧州株が大きく動いたような局面は、間違いなく顧客にとって取引の好機だった」（シュワルツ氏）という。

ロイターが１６日に取材した株式市場の業界幹部やアナリストらは、来週の決算発表でモルガンが王座を失うかどうか興味津々だと語った。

ゴールドマンとモルガン・スタンレーの株価は１６日、いずれも１％未満下落したが、年初来ではゴールドマンが約３％高、モルガンは約４％安と明暗を分けている。

モルガン・スタンレーは日本では三菱ＵＦＪフィナンシャル・グループ<8306.T>との合弁により強いプレゼンスを持つが、欧州の株式事業、とりわけデリバティブ事業がゴールドマンほど好調かどうかは定かでない。

もっとも、より幅広い視野で見れば、世界金融危機以来の構造変化に伴い、金融大手の収入は失われたままになっている。コアリションの分析では、ピーク時の２００７年には大手投資銀行の株式トレーディング収入が年間約８７０億ドルに達していたが、最近では６５０億ドル程度に縮小している。

（Lauren Tara LaCapra記者）