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EU首脳、ユーロ圏予算の経済安定利用見送りへ=総括文書草案
[ブリュッセル 12日 ロイター] - 欧州連合(EU)が13─14日に開く首脳会議で、経済安定にユーロ圏共通予算を利用する案の採用を見送ることが12日、ロイターが入手した総括文書の草案で明らかになった。
ドイツのショルツ財務相はこれまで、ユーロ加盟19カ国の共通の失業保険システムを通してユーロ圏共通予算を経済安定に利用することを提唱。EUの執行機関である欧州委員会も危機に見舞われた際にユーロ圏共通予算を投資支出の安定化に利用する考えを示していた。
ただEU当局者によると、オランダや数カ国の北欧諸国に加え、ドイツの保守派がこうした目的には別のユーロ圏予算を編成する必要があると主張し、強硬に反対。
その結果、今回の首脳会議ではユーロ圏財務相に対し「コンバージェンス(収れん)と競争力を巡る予算措置の構造、実施と時期のモダリティー(大枠)について取り組みを進める」よう要請するにとどめることが、ロイターが入手した総括文書の草案で明らかになった。
草案によると、ユーロ圏共通予算はマクロン仏大統領が提唱するように独立した予算とはならず、EU予算の一部となり、ユーロ加盟国の「基準と戦略ガイダンス」に準拠する。
さらに、ユーロ圏共通予算の規模はEU予算の「文脈の中で」すべてのEU加盟国の首脳が決定するとし、EU首脳に対し2019年6月までに大枠を策定するよう求めている。
マクロン仏大統領らはユーロ圏共通予算を最大で域内総生産(GDP)の数%に相当する規模とすることを提唱。ただ、EU予算の規模は域内GDPの1%となっているため、草案の通りになればユーロ圏共通予算の規模は限定されることになる。
草案はまた、予算の目標である「コンバージェンスと競争力」の具体的な定義について踏み込んでいないため、財務相レベルで今後、討議されるとみられている。
草案は共通の銀行預金保護制度である欧州預金保険スキーム(EDIS)についても踏み込んでいない。
総括文書は14日にEUを離脱する英国以外の首脳が採択する。