COP15を揺さぶる「捏造」疑惑
サウジアラビアは、ウォーターゲートならぬ「クライメートゲート」(地球温暖化のデータを科学者が操作したとの疑惑)を非常に懸念しているようだ。
192カ国から1万5000人が参加するCOP15が開幕した。海面と気温の破滅的な上昇を防ぐ「最後で最高のチャンス」と言われる会議だ。その初日にサウジアラビアの交渉責任者モハメド・アル・サバンが会場から発言し、英研究機関からハッキングされた電子メールが科学者の研究に対する信頼を揺るがしていると述べた。
「最近の情報によると、この科学スキャンダルは非常に深刻化している。交渉において何が信頼できるのか、その本質に影響を与えることは間違いないとわれわれはみている」
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のラジェンドラ・パチャウリ議長は、開会式でクライメートゲートに言及し、IPCCによる研究結果を擁護した。パチャウリにはほかに取るべき選択肢が少なかったのだろうが、開会式でそんな発言をしたのは戦術ミスではないか。
この会議が気候変動への対応を議論する場ではなく、気候変動が起きているかどうかを議論する場に変質することを国連が許せば、既に戦争に半分負けたも同然だろう。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2009年12月07日(金)13時38分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 9/12/2009. ©2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
COP15で売春婦が無料サービス

Christian Charisius-Reuters
独シュピーゲル誌によると、コペンハーゲン市長が市内の各ホテルにはがきを送り、地球温暖化対策を話し合う国際会議COP15の出席者に対して滞在中は売春婦を利用しないよう要請した。だが当の売春婦たちは黙っておらず、そのはがきを見せたCOP15出席者には無料でサービスを提供すると発表した。
デンマークからの報道によると、この無料サービスは「セックスワーカーズ利益団体(SIO)」が企画した。SIOの広報担当者スーザン・ムラーはデンマークのニュースサイトavisen.dkにこう語る。
「これは紛れもなく差別だ。リット・ビャーゴーは市長の地位と権力を乱用して、私たちがまったく合法的な仕事をするのを邪魔している。なぜ彼女がこんなふうに人々に要請することが許されるのか、私には理解できない」
ああ、まさにスカンジナビア。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2009年12月04日(金)14時09分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 7/12/2009. ©2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
地政学的には退屈なW杯組み合わせ

運命の激突 地政学的に敵対する国同士の対戦が見られるのもW杯の醍醐味(写真は06年ドイツW杯準決勝) Jose Manuel Ribeiro-Reuters
私のような「国際派」のアメリカ人が白状すべきことではないのだが、実を言うと私はサッカー観戦がそれほど好きではない。スポーツはやっぱり、(アメリカン・フットボールやバスケットボールのように)展開が速くて次々と得点が決まり、テレビCMや運ばれてくるビールでたびたび中断されるくらいがいい。
だが、サッカーでもワールドカップ(W杯)となると話は別だ。地政学上では憎きライバル同士の国が、殺し合うことも傷つけ合うこともなく(よほどのことがなければ)、公の場で火花を散らすのを見ることができるからだ。
国連財団の専属ブロガー、マーク・レオン・ゴールドバーグが言うように、12月4日に行われたW杯南アフリカ大会の組み合わせ抽選会では、W杯の見どころを探る最初のチャンスが訪れた。この組み合わせを見るかぎり、国際的なバトルが期待できるゲームはあまりなさそうだ。

1次リーグでは旧宗主国と旧植民地が対戦するゲームがある、とゴールドバーグは指摘する(ブラジル対ポルトガル、アメリカ対イギリス、スペイン対チリとスペイン対ホンジュラス)。だがこの国々の植民地支配はすべて何世紀も前の話なので、それほど険悪な関係にはない。
出場国の中に北朝鮮が入っているのは興味深いが、決勝トーナメントまで勝ち進まないと韓国や日本、アメリカと対戦することはないだろう。
決勝トーナメント1回戦では、ホンジュラス対ブラジル戦が見られる可能性もある。今年6月にクーデターで国外追放されたホンジュラスのホセ・マヌエル・セラヤ大統領を保護しているのが、ほかならぬブラジルの大使館だ。情勢次第で面白い試合になるだろう。旧ユーゴスラビアのセルビアとスロベニアの対決も見物だ。
だがこれらの組み合わせを見ても、外交専門誌フォーリン・ポリシーのブロガーであるハーバード大学ケネディ行政大学院のスティーブン・ウォルト教授(国際関係論)が挙げた、「世界を揺るがした世紀のスポーツ対戦」リストに加えられることはなさそうだ。ベネズエラ対コロンビアや、ロシア対ポーランドの試合が見たいというのは、私たちのような国際問題を扱うブロガーの高望みに過ぎないのだろうか。
W杯の展開でもっと気になることがある(サッカーにそれほど入れ込んでいない人たちにとっては、だが)。南アフリカでのW杯開催を危ぶんだ人々に、彼らの考えが間違っていたと証明できるだろうか。南アフリカの欠陥をさらすのではなく、目覚しい成果を披露する場にすることができるのか。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2009年12月04日(金)18時01分更新]
Reprinted with permission from "FP Passport", 04/12/2009. ©2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
ソマリア海賊を封じる「切り札」

ビジネス集団 一見すると秩序などないように見えるソマリア海賊だが、
実は高い組織力を誇っている(09年6月) Reuters
ソマリア海賊に詳しい人なら、船を乗っ取って海の平和を脅かす彼らが見かけよりはるかに組織化された集団だと知っていたはずだ。一見すると帆船で航海する少年たちのような彼らだが、実に真剣に海賊という「ビジネス」に取り組んでいる。
より正確に言うと、彼らが行っているのは株式会社スタイルのビジネスである。ロイターによれば、海賊はソマリア国内にある彼らの拠点港ハラディエールに「取引所」を設立したという。
ここでは72もの海賊組織が「株」を取引する。ここで得た利益は、無数のSUV(スポーツユーティリティー車)や贅沢な食事、さらには地元自治体の歳入の一部に姿を変えてきた。ロイターの取材に海賊は次のように答えている。
「海に出てもいいし、陸上で現金や武器、使える物資を提供してもいい。誰もが(ビジネスに)参加できる。分け前はみんなにいきわたる。今や海賊行為は地域の社会活動になっている」
海賊行為がなくならないのは当然かもしれない。貧困にあえいだり、兵士や泥棒になるより海賊のほうがずっとましだ。それに地元民という「株主」の期待を裏切るわけにもいかない。
私は今年4月、海賊が麻薬密輸に近いものになってきたとする記事を書いた。本当に必要なのは海賊を追い回すことではなく、彼らの資金源を取り締まることだ。
そうした意味で言うと、「株式市場」が誕生したというのはいいニュースかもしれない。海賊のカネはどこかで資金洗浄される必要がある。ということは、金融制裁によって彼らの急所を突くこともできる。海賊のアキレス腱はその財布にあり、ということだ。
──エリザベス・ディッキンソン
〔米国東部時間2009年12月2日(水)12時51分〕
Reprinted with permission from FP Passport, 4/12/2009. ©2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
アフガン増派、NATOの協力は微妙
バラク・オバマ米大統領は、12月1日に発表したアフガン新戦略でNATO(北大西洋条約機構)加盟国に対しこう要請した。「この新戦略に同盟国の貢献を望む。すでに追加の部隊を送ってくれた国もあるし、今後数日から数週間の間にさらに申し出があると確信している」
アフガン新戦略に関する国際協力については、10年1月にロンドンで会議を開いて協議する予定だ。
NATOのアナス・フォー・ラスムセン事務総長は2日、10年に最低5000人を増派できると約束したが、実際にどの国が兵を出すのかは不透明なままだ。
オバマの支援要請に応えて、ポーランド政府関係者は、戦闘にも即応できる部隊600人を増派し、現在駐留する2000人強の部隊の補強に充てることになるだろうと語った。増派部隊の主な任務は、パトロールとアフガン国軍などの訓練を想定している。
アルバニアのサリ・ベリシャ首相は、現在250人の駐留部隊を85人増やすと誓った。85人のなかには戦闘員の他、訓練要員や医療スタッフも含まれる。
スペインの日刊紙パイスによれば、同国国防省は200人を増派し駐留部隊を1200人に増やすことを考慮中だ。イタリアも自国の責務は果たすと宣言し、フィンランド政府は増派要請があったことと、来週にも増派を行う予定であることを確認した。
イギリスは、オバマ演説に先駆けて500人の増派を発表した。これでアフガン駐留英軍の兵力は1万になる。
■オランダが撤退すれば帳消しに
フランスとドイツは、1月の会議まで増派決定を見合わせる方針だ。ニコラ・サルコジ仏大統領は以前、「もう一兵も増派しない」と言ったこともある。
大きな不安要因はオランダだ。オランダ議会は、オランダ軍の任務期限が切れる10年8月1日をもって撤退する決議を行っている(拘束力はない)。もしオランダ政府がこの決議に従い2160人の部隊を引き揚げれば、イギリス、スペイン、ポーランド、アルバニアがこれまでに増派を表明した1385人を軽く超えてしまう。カナダも2800人の全部隊を11年に引き揚げる計画だ。
オランダが現在の兵力を維持し、各国が約束を守るというベストシナリオの下でも、NATO軍はさらに3500人の部隊をイタリアかオーストラリア、あるいは戦争への関与に対し態度を決めかねているドイツ、はたまたアフガン駐留部隊が1000人にも満たない小国から寄せ集めて兵士を調達しなければならない。
目標達成は到底、難しそうだ。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2009年12月02日(水)12時44分更新]
Reprinted with permission from "FP Passport", 3/12/2009. ©2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.


