同性愛スキャンダルでローマ法王ピンチ

Reuters
2月27日、アイリッシュ・タイムズ紙の宗教問題担当記者パッツィー・マクギャリーが本誌(米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」)で、アイルランドのカトリック教会が運営する児童施設で数十年にわたり神父らが児童を性的に虐待していた問題に関する記事を書いた。アイルランドのカトリック信者の間ではこのスキャンダルをめぐり、ローマ法王ベネディクト16世の対応が手ぬるいことに不満が噴出しているという。
しかし法王が今対処すべきなのは、お膝元で起きた同性愛スキャンダルのほうかもしれない。
ローマ法王の侍従であるアンジェロ・バルドゥッチが、バチカンの聖歌隊員トーマス・チネドゥ・エヒエム(29)との会話を警察に盗聴され、逮捕された。
バルドゥッチはエヒエムとの会話の中で、どういう身体的特徴をもつ男性を連れてきてほしいかを具体的にリクエストしていたという。英ガーディアン紙が入手した交信記録は、バルドゥッチがこれまでもおびただしい数の男性を斡旋されていたことを示唆している。そのうちの少なくとも1人は、司祭職に就くために勉強していた男性だった。
バルドゥッチの私生活が暴かれたことで、バチカンは深刻な辱めを受けた。この件に関して、バチカンはまだ公式にコメントしていない。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2010年03月05日(金)10時35分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 05/03/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
ハイチに届かない国連の援助

武装警察に向かって食料や避難所を要求する被災者)
Ivan Alvarado-Reuters
ワシントンの国際難民救済協会は3月2日、1月12日に発生したハイチ大地震の被災地援助に関する報告書を出した。これまでの活動、とくに国連の働きを厳しく非難するものだ。
国連は05年末から、各国連機関やNGO(非政府組織)が援助を食糧、医療、避難民支援など分野ごとに分担しつつより緊密に協力し合うという「クラスター(集団)・アプローチ」を導入した。だがハイチではこれが完全な失敗だったことは、国連の援助幹部も内部文書で認めている。その悲惨さを要約すれば以下のようになる。先の報告書からの引用だ。
誰に聞いても、ハイチの人道支援チームには指導力が欠如していると言う。地震後、国連の人道調整官が援助機関との会議を開くまでに3週間かかった。
国連人道問題調整部(OCHA)の最高責任者であるジョン・ホームズ人道問題担当事務次長兼緊急援助調整官はハイチを訪問した際、職員たちをこっぴどく叱りつけた。「いくつかのクラスターでは、援助ニーズの把握や、一貫性ある援助プランや戦略の立案、ギャップ分析がまだ行えていない」と、彼は指摘した。
ビニールシートを被災者に行き渡らせる期限を5月1日から4月1日に前倒しするにも、ホームズ自身が実務を行わなければならない始末だった。
雨季が迫っているのに、数万人の被災者が、いまだビニールシートさえ持たないまま屋外で寝起きしている。
■援助組織同士の勢力争い?
世界中の国連の援助活動にケチをつけるつもりではないのだが、ハイチにおける問題のいくつかは、私がジンバブエから報じたばかりの問題と不気味なほど酷似している。ジンバブエでは、コレラの流行に対する国連の対応が数カ月も遅れた疑いがもたれている。
ジンバブエでは現地政府の圧力で仕事が進まなかった可能性もあるのだが、ハイチでは、また別種の政治が援助活動の妨げになったかもしれない。国連の援助機関や国際NGOと、現地NGOとの間の勢力争いだ。
現在、ハイチの市民団体と、国連や国際NGOとの間の調整やコミュニケーションはほとんどなく、それぞれが別個に同じような活動をしている。地元の援助組織は、首都ポルトープランスの国連施設で行われる会議になかなか出席できない。
国連機関と国際NGOは、組織横断的なクラスター・グループを作ってコミュニケーションの向上を図り、具体的ニーズを議論し、活動の調整を行っている。重複を避け、できるだけ多くの人々に援助の手を差し延べるためだ。
だがハイチのグループはこうした会議が行われていること自体を知らないか、写真付きの身分証明書をもたないために入場を拒否されたり、人手不足のために長時間の会議に出られずにいる。
■PKO部隊の存在にも不信感
報告書は、海外から多くの援助団体が押し寄せたがための悲劇的な困難にも焦点を当てている。
地元住民は、国連平和維持活動(PKO)やアメリカ、カナダ軍部隊は、いちばんの危険にさらされているハイチ人を守るためではなく、国際援助組織で働く人々を守るために派遣されたと感じている。
ハイチ支援を効率化し迅速化できるかどうかによって、今後数カ月、文字通り数十万人の生死が左右されることになる。報告書によれば、「ポルトープランスには家も避難所もない被災者が約70万人、首都を去った被災者も60万人に上る」。
これから雨季がくれば、避難所も新鮮な水も必要になる。バラバラの援助活動が続けば、どちらも不足したままだろう。
──エリザベス・ディッキソン
[米国東部時間2010年03月02日(火)18時31分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 4/3/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
ギリシャとドイツの「救済ヒステリー」

大規模ストライキを実施し、警官と激しく衝突(2月24日)
Yiorgos Karahalis-Reuters
欧州の首脳は2週間ほど前、財政危機に陥ったギリシャの救済に向けてドイツに先導的な役割を委ねた。以来、両国の間には騒乱と混沌が広がっている。ドイツ人から見れば、ギリシャが米大手金融機関の力を借りて行っていた債務隠しから、年金制度を圧迫し財政赤字を招く平均定年年齢の低さ(61歳)まで、何もかもが腹立たしいようだ。一方のギリシャ人は、ドイツの新聞は人種差別的であり、西ヨーロッパの指導者たちは自分たちに干渉しすぎだと非難している。
2月24日には緊縮財政に反発する労働組合などがギリシャの首都アテネで6万人規模のストライキを行い、一部が暴徒化。町全体が事実上マヒ状態に陥った。
一方、同国のテオドロス・パンガロス副首相はドイツ批判に歴史まで持ち出した。イギリスのBBCラジオとのインタビューで、30万人近い死者を出したとされる41年のナチスによるギリシャ侵攻について触れた。
(ナチスは)ギリシャの銀行にあった黄金を奪った。彼らはギリシャから金を奪うだけ奪って、決して返金しなかった。これはいつか向き合わなければならない問題だ。何が何でも金を返せとは言わないが、せめて「ありがとう」くらいは言う必要がある。それに盗みや、経済的取引の詳細説明の不足についてあまり文句を言うべきではない。
結局のところ、こうした外交的な攻撃は誰にも恩恵をもたらさない。ギリシャ人はドイツの助けを求めていないし、ドイツ人はギリシャを救済する立場に置かれることを快く思っていない。しかしギリシャが助けを拒めば、待っているのは大量の失業と人口の国外流出、社会保障費の大幅削減、そして長引く不況だ。たとえ緩やかな緊縮財政対策に、富裕層への増税など大衆迎合的な政策を組み合わせても、うまく行かないだろう。余談だが、「黄金には感謝している」とアンゲラ・メルケル独首相が言っても、ギリシャ政府には受けないと思う。
──アニー・ラウリー
[米国東部時間2010年02月25日(木)13時05分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 26/2/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
チャベスとウリベ、殴り合い寸前に
2月22日からの2日間、メキシコのカンクンに中南米とカリブ海33カ国の首脳が終結した。アメリカとカナダを除いた自分たちだけの共同体作りのためだ。だが「結束のためのサミット」も、一時はかなり荒れたらしい。ベネズエラのウゴ・チャベス大統領とコロンビアのアルバロ・ウリベ大統領、隣国ながら仇敵同士の2人が激突したからだ。
チャベスはCNNの独占取材に対し、「もし間にテーブルがなかったら、ウリベは殴りかかってきただろう」と語っている。いったい何があったのか。
問題の昼食会に参加したある人物によれば、チャベスとウリベは怒鳴り合いを始め、口汚く罵り合った。
最後はキューバのラウル・カストロ大統領が「結束のためのサミットで喧嘩などとんでもない」と、仲裁に入ったという。
■それでも男か、地獄へ堕ちろ
英デーリー・テレグラフ紙の電子版は、もっと生々しい詳細を載せている。
するとチャベスは、ウリベは民兵部隊を使って彼の暗殺を図ったと非難し、こんなところにいられるかと、途中で退席しようとした。
今度はウリベが怒鳴る番だ。先の外交官によれば、ウリベはこう言った。「それでも男か! この場で話し合うべき課題がたくさんある。お前は遠くで吠えるばかりで、面と向かえば臆病者だ」
チャベスは怒鳴り返した。「地獄へ堕ちろ!」
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2010年02月23日(火)12時26分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 24/2/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
ユーロ離脱は絵に描いた餅

Yiorgos Karahalis-Reuters
ギリシャに、ユーロからの「一時休暇」を認めるべきだ──ハーバード大学のマーティン・フェルドスタイン教授(経済学)は2月16日の英フィナンシャル・タイムズ紙でこう主張した。ユーロから離脱できれば、通貨切り下げによって現在の厳しい経済状況から抜け出すことができるというのだ。
いいアイデアだが、絵に描いた餅にも思える。カリフォルニア大学バークレー校のバリー・アイケングリーン教授(経済学)はその理由をこう説明する。
手続き的な障害の大きさを考えると、ユーロ離脱はほとんど不可能だ。自国通貨に復帰するには、賃金から預金、債券、住宅ローン、税金等を含むありとあらゆる契約を自国通貨建てに直さなければならない。民主主義国においてはこれは、徹底的な議論を要する問題だ。
通貨の移行を円滑に進めるためには、周到な計画も必要だ。コンピューターのプログラムを書き換える。自動販売機を新通貨用に改造する。ユーロの流通開始に備えて行われた大々的な準備作業を思い起こせばわかる。
そしてそれには、巨額の費用もかかる。ギリシャは負担したがらないかもしれない。
簡単な計算をしてみよう。ユーロ圏がユーロ紙幣の流通を始めた02年、フランスの大手銀行BNPパリバはその移行費用を1600億〜1800億ユーロ(現在価値では1880億〜2120億ユーロ)と試算した。ギリシャの経済規模はユーロ圏全体の2.5%なので、ギリシャの通貨移行費用は47〜53億ユーロになる可能性がある。
これなら、ギリシャでも払えるかもしれない。ギリシャ政府が今年中に借り換えようとしている借金530億ユーロに比べれば大した額ではない。
だがこの推定費用には、企業や個人、銀行が負担することになる巨額の費用や、ユーロからギリシャ通貨への復帰を実現する政治的労力が入っていない。
フェルドスタインのアイデアは素晴らしいが、やっぱり実現はしそうにない。
──アニー・ラウリー
[米国東部時間2010年02月17日(水)11時31分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 18/2/2010.© 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.


