次の大統領にはペトレアス将軍を
アメリカ中央軍司令官デービッド・ペトレアス将軍は、彼が2012年の米大統領選に出馬するという期待を繰り返し打ち消してきた。それでも期待を捨てきれない人々がいる。英テレグラフ紙のワシントン特派員、トビー・ハーンデンもその一人。将軍は是が非でも立候補すべきだと主張する。
多くの有権者が政界のアウトサイダーを待望している。信頼できて高潔で、実績が証明されている誰か。生涯を政界でのし上がることだけに捧げてきたのではない誰か。党派主義や政治不信が幅を利かせてきたこの数年の間に、名声を上げた公的機関は唯一、米軍ぐらいだろう。将校たちは、第二次大戦の英雄パットン将軍が言う「現代における古代の英雄たちの代表」のように尊敬されている。
バラク・オバマ大統領の後継者を探すのに、軍ほど適した場所があるだろうか。第二次大戦中に欧州の連合軍最高司令官を務めたドワイト・アイゼンハワーが大統領に選ばれた1952年以来、軍人が大統領になる可能性が今ほど高まったことはない。
なかでもデービッド・ペトレアス将軍は抜きん出ている。アメリカ中央軍司令官として、23万人の部隊を率いてイラクとアフガニスタンの2つの戦争を戦ってきた。自ら立案したイラク増派作戦で窮地の米軍を救い、勝利を掴み取った後、今はアフガニスタンで同じ苦難と闘っている。
■アメリカ人は政府より軍隊を尊敬している
イメージとしてのペトレアスではなく、候補者としてのペトレアスに有権者が飛びつくという考え方には、私はいつも違和感を感じてきた。彼の軍事的功績は本物だが、NATOの元欧州最高司令官ウェスリー・クラークが身をもって学んだように、戦場での強さは必ずしも選挙の足しにはならない(クラークは04年の民主党大統領候補選びに参戦したが、撤退した)。
アメリカ人が政府より軍隊を尊敬しているのは確かだが、投票行動には結びついていない。最近の5回の選挙では、ジョージ・H・W・ブッシュ、ボブ・ドール、アル・ゴア、ジョン・ケリー、ジョン・マケインなどの元軍人は皆、戦闘経験のない候補に敗退している。
第一、ペトレアスの支持基盤は誰なのだろう。まずイラクとアフガニスタンに対する政策を、彼が大きく見直すとは思えない。彼自身が作ってきた政策でもあるからだ。そしてオバマの社会問題に対する姿勢や経済政策に怒っている有権者はおそらく、こうした分野で実際に何か意見を述べたことがある人を探そうとするだろう。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2010年04月05日(月)12時16分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 6/4/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
史上最大のバイオ認証国勢調査
今年の国勢調査で問われる10個もの質問は、明らかに悪質なプライバシーの侵害に当たる──アメリカ右派の傍流にいる人たちがそう結論付けた。そんなミシェル・バックマン下院議員(共和党)やトークショー司会者グレン・ベックらは、4月1日に始まったインドの「生体認証型国勢調査」についてはどう思うだろうか。
インドは新しい国勢調査を始める。15歳以上のすべての国民の写真を撮り指紋を採って、全国生体認証データベースを作る。
政府はその情報を元に身分証明書を発行する。
約12億人の国民を性別・宗教・職業・学歴別に分類するには1年かかるという。
インド内相は、この種の国勢調査としては人類史上最大の規模になると言う。
真面目な話、この種の国勢調査は私にはやや侵略的に思える。インドの人権団体がどれほど騒ぐかが見ものだ。こうしたインド方式と、最低限の情報しか集めないアメリカ方式との間に何らかの妥協点があることは間違いない。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2010年04月02日(金)12時58分更新]
Reprinted with permission from FP Passport 5/4/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
地下鉄テロの「黒幕はグルジア」?
KGB(旧ソ連国家保安委員会)の後継組織、FSB(ロシア連邦保安局)の元局長だったニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記は、3月29日にモスクワで起きた地下鉄連続爆破テロの黒幕が敵対する隣国グルジアだとは言っていない。あらゆる可能性があると、表向きは言っている。
「すべての可能性を検証しなくてはならない。たとえば、グルジアという国があって、大統領は予測不能な行動を取るミハイル・サーカシビリだということなどだ」と、パトルシェフは有力紙コメルサントに語った。
「サーカシビリはすでに1度、(グルジアの南オセチア自治州の独立を巡ってロシアと)戦争を起こしている。もう1度やる可能性もある。グルジア特殊部隊のメンバーがロシア南部・北カフカス地方のテロ組織と関係する者を支援しているという情報もある」
セルゲイ・ラブロフ外相は、攻撃はアフガニスタンかパキスタンからだった可能性もあると言い、アナトリー・セルジュコフ国防相も30日、「何でもありうる」と言った。
どうせ人の言うことなど聞いていないのだろうが、北カフカスのチェチェン共和国の独立派武装勢力は31日、犯行を認める声明を出した。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2010年03月31日(水)16時24分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 1/4/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
サルコジ、米医療保険改革を嗤う
29日にニューヨークのコロンビア大学で講演したニコラ・サルコジ仏大統領は、外交儀礼の限界を試すと決めたようだった。成立したばかりの米医療保険改革法に関し「率直に語らせてもらう」と断った後、個人的見解として許容される範囲を超えて、内政干渉すれすれの発言に及んだのだ。
病人や貧しい人を見捨てない国々のクラブへようこそ。
おおっと! サルコジはさらに続けた。
もしフランスであなたに何かあっても、救急病院へ連れて行く前にクレジットカードを見せろなんて言う者はいない。
■今のアメリカには返す言葉もない
サルコジの発言にムッとした人もいるかもしれないが、われわれには返す言葉もない。医療保険改革法案を巡る論争では、驚くほど多くのアメリカ人が「死の審査会」などありもしない条項について理屈もへったくれもない狂騒を繰り広げてきた。これが社会主義だという主張だけでも十分馬鹿げているが、今度は21日の下院採決で医療保険改革法案を支持した民主党議員に対し、殺すと脅したりレンガでガラスを割るなどの嫌がらせが急増している。民主主義を望むなら、それこそあってはならないことだ。
──アンドルー・スウィフト
[米国東部時間2010年03月30日(火)12時17分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 31/3/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
グーグル騒動で外国メディアが餌食に?
グーグルの中国本土での検索事業からの撤退や中国政府による検閲、メールの安全性などをめぐる記事を配信する外国メディアの在北京特派員たちは、自分の受信ボックスに注意すべきだ----3月25日、北京にある駐華外国記者協会はホームページ上でこう警告した。
大きなニュースが起きた時や政治的に微妙な時期には、通常より多くの添付ファイル付きの悪質なメールが中国にいる外国人特派員に送られる傾向がある。今週は、そうした悪質なメールが増えているようだ。
記者たちに悪質なメールが送られたタイミングと、グーグルをめぐる騒動に関連性があるかは分からない。今のところ、3名の在北京特派員が受け取った悪質メールについては、今年5月から開催される上海万博のプレス部門から送られたもののようだ。これらのメールはそれぞれ異なるアドレスから送信されているが、上海万博が管理する記者名簿が流用された可能性も指摘されている。
安全性とプライバシーへの懸念もあるが、果たして上海万博の関係者たちはこの件に加担しているのだろうか。それとも「なぜ私たちのメールリストなんだ。外国人記者たちを味方につけようとしている時に、なんてことしてくれたんだ」と思っているのか(もっとも、上海万博でのアメリカ展示館をみれば、アメリカの広報外交もイマイチであることは一目瞭然だが)。
──クリスティーナ・ラーソン
[米国東部時間2010年03月25日(木)10時47分更新]
Reprinted with permission from "FP Passport", 26/03/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.


