iPadを没収するイスラエルの言い分

Kimberly White-Reuters
イスラエルがハイテク国家だというのは誰もが認めるところだし、イスラエル自身、それを誇りに思っている。だからこそ、イスラエル政府が今週、空港の税関でアメリカからの帰国者や入国者のiPadを押収し始めたことに、イスラエル国民は驚いた。事前の通知もなかった。政府は次のように説明している。
今日、アメリカのみで発売されているiPadは、アメリカの無線LANの規格に基づいている。イスラエルの無線LAN規格は、アメリカのそれとは異なりヨーロッパの規格に近いため、(イスラエル国内でアメリカ規格のiPadを使用すると他の機器に支障をきたす恐れがあることから)イスラエルでの使用は許可できない。
イスラエルがアメリカ基準の端末を国内で販売させたくないというのなら理解できるが、国外からの持ち込みに対し、そこまで目くじらをたてることがあるだろうか? 今のところ、押収されたのはわずか10台程度にすぎない。その数で、国内の無線ネットワークに大きな支障をきたすのだろうか?
いずれにしても、イスラエルのアップル愛好家はもう少し待たないといけないだろう。iPadの世界発売は1カ月延期されたのだから。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2010年04月15日(木)12時23分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 16/4/2010.©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
中東一の愚か者、シリア

Zohra Bensemra-Reuters
シリアが移動式弾道ミサイルのスカッドを、レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラの拠点に運び込んだ、または運び込みつつある、という疑惑をどう解釈したらいいのだろう。米オバマ政権が5年ぶりに駐シリア大使を復活させようと努力していた矢先のことだ。
まずは不可解だ。こんな挑発的なことをすれば、イスラエルに攻撃されるかもしれない。なぜそんな危険を冒すのか。アメリカのスパイ衛星の助けがあれば、イスラエル空軍は簡単にスカッドを破壊できるだろう。シリアの防空システムをかいくぐって空爆を成功させるイスラエル軍の能力は、07年にシリアの核施設らしき場所を破壊したときに証明済みだ。テロ組織にスカッドのような危険な武器を渡したことがはっきりすれば、国際的にも厳しい糾弾を受けることになる。
シリアはよく、06年のレバノン侵攻でヒズボラがイスラエル軍に対して善戦したことを吹聴する。だがバシャル・アサド大統領も実際は、彼の老朽化したソ連製武器が何の役にも立たないことや、自分の執務室がイスラエルのF15戦闘爆撃機の航続距離内に入っていることはよく承知しているはずだ。
シリアは何十年も、隣国レバノンを支配してきた。シリアの強大な軍事力についての報道も多い。だがその実態は、レバノン以遠には到底支配の及ばないチャチな独裁国家に過ぎない。
■独裁体制は奇妙な生き物
地域の勢力争いの観点から見れば、今回の軍事行動(まだ疑惑だが)もほんの少しだが理解しやすくなる。シリアの同盟相手でスポンサーでもあるイランは、アメリカとその同盟国がもしイランの核施設を攻撃すれば大きな代償を支払うことになると世界に示したがっている。国際的な制裁圧力も高まるなか、イランの権力者たちがアサドに何らかの助けを手助けを頼んだことも考えられなくはない。
だがこの件で何より常軌を逸しているのは、シリアは西側に加わるほうがよほどトクになるということだ。イスラエルが占領しているゴラン高原も返ってくるかもしれないし、経済制裁も解除してもらえる。エジプトのように、独裁体制を温存しながら海外からの援助や投資を享受するのも夢ではない。考古学的・文化的に豊富な資源を生かせば、巨額の観光収入も見込めるだろう。
イランとの親密な関係を絶ち、武装組織を支援したりレバノンの内政に介入するのを止め、イスラエルと名がつくものすべてを攻撃する態度を改めれば、険悪だった他のアラブ諸国との関係も改善できる。
だが独裁体制というのは奇妙な生き物だ。内部の人間にしかわからない理由で愚かな決断をすることも珍しくない。
──ブレイク・ハウンシェル
[米国東部時間2010年04月14日(水)19時37分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 15/4/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
世界で最も無意味なテロ集団

Cathal McNaughton-Reuters
テロは政治的戦術として決して擁護できるものではないが、少なくともテロの背景にある政治的動機を特定することは可能だ。しかしそれは、カトリック過激派アイルランド共和軍(IRA)の分派「真のIRA」にはまったく当てはまらない。彼らは、イギリス政府が北アイルランドでの司法・警察権を自治政府に移譲した直後、こんな事をしでかした。
「真のIRA」は、対テロ情報機関MI5の北アイルランドにおける拠点で、厳重に警備された施設「パレス・バラックス」の門に爆弾を運ぶよう、ベルファストのタクシー運転手に強要したことを認めた。
警察幹部によると、運転手の勇気ある行動がなければ、裕福なベルファスト郊外のパレスわきに住む一般市民が爆弾であっけなく殺傷されていたはずだという。
運転手(名前は非公表)は武装した3人から、爆弾をパレスに届けてそれを黙っておけ、さもなくば彼か家族を処刑すると脅されていた。だが彼は、外周の門の外に車を止めるとすぐに「爆弾だ!」と叫んだという。
20分後、近所の老夫婦や家族らを警官が避難させているさなかに爆弾が爆発し、屋根や庭に金属片やがれきが降り注いだ。けが人はなかった。
テロを「卑怯」と表現するのは政治的な決まり文句になっている。タクシー運転手の家族を誘拐したうえで本人に爆弾を住宅街まで運ばせるという行為には、それ以外の単語が思い浮かばない。
「真のIRA」のテロは下手で頻度も少ないため、市民に幅広く恐怖を植え付ける可能性は小さい。無神経で政治的に鈍感な彼らが共感を呼ぶとも思えない。
しかも主流の共和主義政治家たちが「真のIRA」の行為を容赦なく批判している。元IRA司令官のマーティン・マクギネス自治政府副首相は「政治状況は永遠に変わってしまったのだから、時間の無駄、まったく無益」とこき下ろす。
もう足を洗うべきときだろう。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2010年04月12日(月)13時50分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 13/4/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
カルザイ麻薬疑惑に食い下がれ
アフガニスタンのカルザイ大統領はヤクでもやっているのか? 国連アフガニスタン支援団のピーター・ガルブレイス前副代表が4月6日に述べたコメントは、明らかにそう示唆していた。
「彼は長広舌だ」と、MSNBCの番組でガルブレイスは語った。「非常に感情的になったり衝動的に行動することがある。実は大統領官邸のインサイダーによると、彼はアフガニスタンの最も収益性の高い輸出品を嗜好しているそうだ」。いかにも内容を察してくれと言わんばかりだった。
カルザイが麻薬中毒だと非難しているのかと聞かれると、ガルブレイスはかわした。「そういう趣旨の報道がある。ただ原因が何であれ、現実に彼は非常に感情的になることがある」
(ここでガルブレイスには個人的な思惑があることに注意すべきだろう。彼は昨秋、国連を解任された。カルザイの選挙不正を執拗に非難して上司のカイ・エイダとぶつかり、アメリカと国連に何らかの手を打つように圧力を掛けたためだ。)
今日(4月7日)の国務省の記者会見で、クローリー次官補は、ガルブレイスの発言に関して何とか失言を引き出そうとする報道陣の度重なる質問をはねのけた。
記者 きのう大使が・・・ガルブレイス前大使がテレビ出演してかなり直接的な・・・・・・。
クローリー とんでもない非難?
記者 どう表現するかはお任せしますが・・・・・・。
クローリー 私はそう表現します。
記者 アメリカ政府として、カルザイ大統領が例えば官邸の地下に隠れてマリフアナを吸っているとか、もっとひどいことをしていると考える理由はありますか?(笑)
クローリー 彼はアフガニスタンの大統領です。われわれと密接に関わってきました。長官は金曜日に彼と話をしました。アイケンベリー大使も金曜日に話したし、マクリスタル司令官とアイケンベリー大使は週末を彼と過ごしました。ピーター・ガルブレイスによる非難を支持する情報は持ち合わせていません。
その後、記者たちはさらに試みる。
記者 ガルブレイスの発言・・・。
クローリー それが何か。
記者 ・・・でも麻薬疑惑は別として、彼は大統領の、「気まぐれ」が適切な言葉かもしれませんが、そういう言動について語っています。アメリカ政府はカルザイの安定性、精神の状態、あるいは最近の不規則な行動について懸念していますか。
クローリー いいえ。
記者 まったく?
クローリー まったく。
そして、気持ちを込めて、もう一度。
記者 つまりガルブレイスの意見に同意しない・・・・・・。
クローリー しません。
記者 ・・・について・・・。
クローリー しません。
記者 多少なりとも?
クローリー 彼は、いいですか、彼はアフガニスタンの大統領で、われわれが尊敬する人物で、われわれと密接に協力して、全国レベルで実効性ある政府を作り上げようとしている人物です。そして、われわれは地方レベルでも実効性ある政府をつくるため、アフガニスタンのほかの人たちとも協力を続けます。
惜しかったね、みんな。
──ブレイク・ハウンシェル
[米国東部時間2010年04月07日(水)19時47分更新]
Reprinted with permission from FP Passport 8/4/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
ロシア「米MD拡大なら核軍縮脱退も」
米ロ首脳は8日、チェコの首都プラハで新しい核軍縮条約に調印するが、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はまだシャンペンを抜く気分ではないようだ。
ラブロフはモスクワで6日、報道陣に以下のように語った。「もしアメリカのミサイル防衛の戦略的潜在力が、量的にも質的にもロシアの戦略核能力の効果に重大な影響を及ぼし始めるようなら、ロシアは条約から脱退する権利がある」
ミサイル防衛(MD)は、両国が新条約に合意する上で最大の難関だった。とくにアメリカのMD東欧配備計画が表面化してするとロシアが強く反発した。
迂回策として、条約本体ではMDには言及せず、序文で両国がそれぞれの主張を盛り込むことにした。オバマ政権は、MDを拡大するアメリカの権利は新条約の制限を受けないと主張している。核軍縮に懐疑的な米上院の共和党議員を説き伏せるためにもそう言うだろう。だがラブロフのほうは、そんな話は聞いていないようだ。
ロシアは、攻撃システムと防衛システムの関連性が条約に明記されている主張する。
「MDとの関連性は、条約に明示されており、法的拘束力もある」と、ラブロフは語った。
ラブロフは、新条約を上院で批准することがオバマ政権にとって容易でないことを知っているし、新条約に反対する議員がラブロフの発言を引き合いに出して武器にする可能性があることも承知の上だ。オバマ大統領とメドベージェフ大統領が条約に調印しても、MDをめぐる次の戦いは始まったばかりだ。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2010年04月06日(火)11時49分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 7/4/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.


