vol.100
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創刊100号を迎えた『アステイオン』。この38年でメディアと社会はどう変容してきたか。アカデミズムとジャーナリズムをつなぐ「知的ジャーナリズム」の果たしてきたことと役割、そして洗練され開かれた「言論のアリーナ」としての挑戦について50名を超える執筆陣が論じる。
芸術には国境がない。しかし、それが芸術家の活動地域と結びつけて語られることはほとんどない。また、「国境がない」芸術は西洋起源の音楽や美術をイメージすることが多く、非西洋の芸術はほとんどの場合、地域性や特殊性を含意している。越境の日常化は境界を無効にする一方で、その存在を顕在化させることもある。そもそも越境とは何か、境界の生起と消失の反復はどのような可能性をもたらすのか。本特集がそれらの問題についての思索を深めるきっかけとなれば幸いである。
「中国」「中華」の意義・影像によって、中国に対する言動・関係が変わり、その過程を通じ、各国各地の運命も決まってきた。何度も干戈を交えた日本も、もちろん例外ではない。ほかの国々はなおさらそうだろう。いまや「米中対立」と言って憚らないアメリカすら然り。中国史の多くをそうした史実経過が占める。「中華」の拡散・深化と「中国の夢」を、外の眼からあらためてさぐってみることで、東アジアの現在を考えたい。
今年2月24日にロシアがウクライナに対して「特別軍事作戦」と称して始めた戦争は世界に衝撃を与えた。日々の戦況から離れて俯瞰することで見えてくるものがあるのではないか。そういう問題意識から今特集では内外の専門家にさまざまな角度からの分析を求めた。もちろん戦争は進行中であり、本特集も夏頃までの状況を前提とした暫定的な考察であるから限界はある。それでも今特集が読者にとって、この不幸な戦争とこれからの世界について考える機会となることを祈りたい。
経済学は人々の経済活動を研究する学問である。そのため、その研究結果と生活実感は、かなり合致するはずである。しかし、経済学者の多くが同意している定説や命題が世間では正反対の見解が支持を得たり、信じられていることがある。その一方で経済学者の間で意見が対立している学説ほど、世間では広く知られているという悩ましい現象もある。本特集を通じて、経済学が直面するこうしたギャップを少しでも解消し、経済学的視点の面白さが読者に少しでも伝われば幸甚である。