現在の世界秩序を何と呼べばいいのだろうか? グローバルな条件が可能にする、グローバルな危機の震源は、「まだら」な世界地図のひとつひとつの斑点のように、世界各地に、究極的にはわれわれ一人ひとりの内側に点在している。「まだら状の秩序」を凝視する作業によって変化の片鱗を見出そうとしていたわれわれの営為は、今後どのように見えてくるのか。
目次
【特集】
- 巻頭言――すばらしい「まだら状」の新世界池内 恵
- 最高指導者と革命防衛隊――イランを支配しているのは誰か?アリー・アルフォネ
- 宗教と国家――エジプトの権力構造における宗教機構ネイサン・J・ブラウン
- 戦略的自律性の追求――アラブの春の挫折とトルコ外交シャーバン・カルダシュ
- 南コーカサスにおける非民主的な「安定」廣瀬陽子
- 変わりゆく世界秩序のメルクマール――試練の中のスウェーデン清水 謙
- 権威主義への曲がり角?――反グローバリゼーションに揺れるEU岩間陽子
- 習近平の社会思想学習近藤大介
【論考】
- 教育は「聖域」か――政治とお金から逃げる日本青木栄一
- 朝河貫一の一九四六年秋憲法第九条改正論
――「神聖な武力」への反省を刻んだ自由追求のために浅野豊美
【世界の思潮】
- 中国内戦史研究の現在地――定説の見直しをめぐる不協和音阿南友亮
- 高度監視社会のパンとペン藤原辰史
- 資本主義を救う「急進的な市場主義」という処方箋安田洋祐
- 知られざるベストセラー作家 路遥馬場公彦
【時評】
- 亡き友芳賀徹を偲ぶ高階秀爾
- 木造復活ブーム藤森照信
- 甲子園大会と「国民歌」渡辺 裕
- 災害列島奥本大三郎
- 丸山眞男研究の新たな動向苅部 直
- 日常と危機の境界で田所昌幸
【写真で読む研究レポート】
- イタリア・ルネサンス庭園――知を創造する緑陰を訪ねて桑木野幸司
- フランスにおける日本関連の録音資料鈴木聖子
【連載】
- 夢を種蒔く人・厨川白村
――象牙の塔での喜悲劇 東京帝大で過ごした日々張 競
- 哲学漫想3 リズムの哲学再考――反省と展開への期待山崎正和
- 世界史の変容・序説――歴史はなぜ快楽か?三浦雅士