いま、世界の色々な場所で、リベラルな国際秩序の終わりが語られている。その最大の理由は、トランプ米大統領がリベラルな国際秩序の中核となる重要な規範を軽視して、侮蔑しているからである。とはいえ、トランプ大統領がホワイトハウスから去った後も、リベラルな国際秩序の衰退は続くであろう。本特集に寄せられた論文から理解する契機となれば、大きな歓びである。
目次
【特集】
- 巻頭言細谷雄一
- 歴史の中のリベラルな国際秩序納家政嗣
- リベラルな国際秩序と権威主義諸国の挑戦アーロン・フリードバーグ
- アメリカン・ナショナリズムの反撃――トランプ時代のウィルソン主義中山俊宏
- 中国は強大化するのかミンシン・ペイ
- プーチン政権と地政学の復権――ロシアの「大国」アイデンティティ小泉 悠
- 海洋グレートゲームの時代――「新しいインド」とリベラルな国際秩序ヴィヴェク・プララダン
- 「西側結合」の揺らぎ――現代ドイツ外交の苦悩板橋拓己
【論考】
- 力を失うドイツ――EUにおけるパワーシフトヴォルフ・レペニース
- 若き日の中曽根康弘――憲法改正論の構造北岡伸一
【写真で読む研究レポート】
- ロマネスク美術と怪物たち――聖堂に息づくギリシャ神話金沢百枝
【地域は舞台】
- 牛とかっぱと男たちの島 島根県隠岐郡隠岐の島町への旅
全隠岐牛突き連合会(島根県隠岐の島町)阿川尚之
【世界の思潮】
- 修正主義は修正できるか?――冷戦期の文化外交研究における近年の動向池上裕子
- 思想家フィヒテ熊谷英人
【時評】
- 俳人金子兜太氏の大往生芳賀 徹
- 「自由」か「死」か高階秀爾
- 「空耳」文化のすすめ渡辺 裕
- 高校新科目「歴史総合」をめぐって苅部 直
- 学術言語としての日本語待鳥聡史
- マルクス主義建築学者が救った温泉街藤森照信
- ファーブル昆虫館の一日奥本大三郎
【連載】
- 世界史の変容・序説――『水滸伝』と『千一夜物語』三浦雅士